氾濫する情報の真偽のほどは?(イラスト:三島由美子)
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 睡眠に関する鉄板ネタの一つに「食」がある。

 睡眠と食についてちょっと検索すれば、「アレを食べると寝つきが良くなる」「コレを食べると眠りが深くなる」など、快眠をもたらす食品、飲み物、サプリ、各種ビタミン、ホルモン、アミノ酸を紹介しているサイトが星の数ほど引っかかる。

 医薬品を服用するのは抵抗があっても、身近な食材や果物、天然素材から抽出したエキスと聞くと、なんか安心感がある。期待しながら飲むと、それがまたプラセボ効果(※) を高めたりする。中には特殊な成分を抽出した限りなく医薬品に近いものもあり、「こんなの毎日飲んでも大丈夫?」と心配になるものもあるのだが。

 書籍やネット上には食と睡眠に関する情報が氾濫しているが、実は根拠となるデータ(エビデンス)はごくごく少ない。どのくらい少ないかというと、ある睡眠学のスタンダードな教科書では「食品と睡眠」に関する記載は全700ページの中で 1ページにも満たないほどである。

 最近でこそ時間栄養学という学問分野が活発になり、カロリー摂取や栄養素が体内時計や睡眠に及ぼす影響についてデータが徐々に蓄積されているものの、動物実験段階の研究が大部分である。特定の食品が人でも効果があるか示したデータはごく限られている。

 では、ナゼ研究成果が少ないのか。それは研究手法がとても難しいから。10年以上も前になるが、国の大型研究費が採択されて睡眠研究の全国チームが組まれたことがある。さまざまな研究課題が設けられた中で、難題と分かっていた「食と睡眠」については、お互いに尻込みをしてしまい担当する研究者がどうしても決まらなかった。

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(※)偽の薬でも本物と信じて服用すると一定の治療効果が出る現象

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