第30回 夜勤の心得 –時計はそのまま、眠気に対処−
日勤と夜勤時の深部体温のグラフ。横軸は時刻。夜22時から朝6時までの夜勤を3週間続けたときの変化を示している。体内時計の影響が大きく、3週間経っても軽度ながら夜勤後半に深部体温の低下が認められる。(イラスト:三島由美子)
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日勤時には勤務中の深部体温が高く、睡眠中に低くなる(図上段)。そのまま夜勤に入ると、就業時間中に深部体温は低下してしまう(図中段)。これでは眠気が強く、能率も上がらない。逆に夜勤明けの睡眠時には横になったことで若干体温は下がるが(見かけ上の低下で体内時計はまだほとんど動いていない)、日勤時の夜のように大きな体温低下が生じないため睡眠の質も悪くなる。
体調不良を我慢して、3週間ほど夜勤を続けていると、ようやく深部体温リズムが12時間ずれて夜勤に合わせたコンディションが概ね完成する(図下段)。それでもまだ完全には体内時計の時刻は逆転していない。夜勤後半になると軽度ながら深部体温の低下が認められている。かように体内時計というのは“頑固”なのである。
そもそも、3週間も夜勤を続ける人がどれだけいるだろうか。さらには、夜勤向けに整えられた体内時計の顛末は如何に?
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