ご存じのように、ジェットラグはジェット飛行で時差のある地域に移動したときに、飛行先の現地時刻(昼夜サイクル)と、いまだ日本時間の体内時計の位相(体内時刻)との間にずれが生じて、眠気や倦怠感、食欲不振などさまざまな心身の不調を呈する現象をさす。社会的ジェットラグという概念が提唱されたのは、同じような現象が時差飛行をしなくても(国内に留まっていても)生じるためだった。夜型ブルーマンデーはその一例に過ぎない。後半で紹介するが、社会的ジェットラグは寝起きだけでなく、現代人の心身に大きな負担となってのしかかっている。

 本稿ではこれ以降は夜型ブルーマンデーを社会的ジェットラグと呼び替える。週末の夜更かしと寝だめがさらなる社会的ジェットラグを引き起こす悪循環の起点となっているのだが、そもそもの原因は朝と夜の光の浴び方にある。そのメカニズムは次の通りだ。

 まず社会的ジェットラグに陥ると、週末は寝だめ(寝坊)によって午前中に太陽光を浴びられない。一般的に普段の起床時刻の1時間前から6時間後にかけて浴びる光は体内時計の時刻を進めてくれる(朝型にする)。より正確には、瞳孔から入った光刺激が網膜にある「内因性光感受性網膜神経節細胞(Intrinsically photosensitive retinal ganglion cells; ipRGCs)」を介して、体内時計である視交叉上核に働きかけ概日リズム(生体リズム)の位相を前進させるため早寝早起きがしやすくなる。

 もともと体内時計の周期が長く概日リズムが遅れがちな夜型の人では、この午前中の光刺激が睡眠リズムを朝型に保つ大事なツールとして働いている。平日であれば出勤や登校のために否応なく浴びていた午前中の太陽光だが、週末は寝だめのために浴びることができず、2日間で概日リズムが一気に遅れる原因となる。

 以上を踏まえたうえで、主な4つの対策を紹介しよう。

次ページ:ずれを生まずに寝不足を解消する

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