その研究では、健康な被験者(平均年齢34歳)を募り、7〜8時間眠った翌日と、4時間しか眠らなかった翌日に、熱暑条件(室温35℃、湿度40%)で午前2回、午後2回の計4回にわたって各40分間のウオーキング(時速3.5km)をさせた。ウオーキングの合間には、20分間の休憩(室温28℃、湿度30%)や昼食、昼寝(20分)などをとらせ、水分も自由に飲ませた。

 実験は室温や湿度を調整できる特殊な部屋(人工気象室)の中で行われているので、実際に日光を浴びることはない。ただ、蒸し暑さの指標として不快指数というのがあり、ウオーキング時の室温35℃、湿度40%の不快指数は82である。不快指数は80を超えるとほぼ全員が不快に感じると言われている。したがって、時速3.5kmというのはゆっくりペースではあるが、40分間も歩くのはかなりしんどい。実際、ウオーキングの間に深部体温は0.4℃〜0.6℃ほど上昇し、1分間当たりの心拍も20〜30跳ね上がっている。

 そして今回のテーマである睡眠不足の影響だが、午前中のウオーキングでは7〜8時間睡眠時と4時間睡眠時の間で深部体温に対する影響には差が見られなかったが、午後のウオーキングでは休憩時間中の体温の戻り(下降)が悪く、その後のウオーキングでさらに深部体温が上昇して高止まりするなど悪影響がみられた。

 睡眠不足時の深部体温はウオーキングを始める前は平均36.9℃であったが4回目のウオーキング終了後には37.7℃と約0.8℃上昇していた。ちなみに重症の熱中症では40℃を超えることもある。一方、睡眠不足がない時の深部体温は37.4℃と睡眠不足時よりも0.3℃ほど低めに留まっていた。

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