第51回 睡眠薬の上手なやめ方―「断薬恐怖症」を克服する

「睡眠薬を減らすととたんに眠れなくなる」など睡眠薬をやめられないという悩みをよく聞く。そんな体験を繰り返すうちに、睡眠薬の依存症(薬物依存)になってしまったのではないかと心配して睡眠障害外来を受診する方が後を絶たない。

 薬物依存の危険性が少ない安全な薬も登場してきたのに、ナゼ睡眠薬はやめにくいのか、前回はそのメカニズムについてご紹介した。興味のある方はぜひお読みいただきたい。

 今回は対策編として、安全、着実に睡眠薬ばなれをするにはどうしたらよいか、具体的な方法をご紹介したい。

(イラスト:三島由美子)
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 ただし、注意点が1つある。自分一人で勝手に減薬にチャレンジしないこと。特に禁断症状のでやすい古いタイプの睡眠薬を服用している場合には、慎重に減薬を行わないと危険な場合もある。睡眠薬の知識があるドクターであればこれから紹介する減薬方法は知っているので、主治医に相談して正しい手順で行っていただきたい。患者さん自身にもその知識を共有して欲しいと考え、ご紹介する次第である。

 前回の話も踏まえて、減薬のコツを4つのステップで解説する。

■睡眠薬を減らすための4つのステップ■

  • ① 8時間睡眠をめざさない。「ほどほど眠る」でOK
  • ② 一時的な悪化は既定路線。断薬恐怖を乗り越える
  • ③ 急がば回れ。ゆっくり安全に漸減する
  • ④ 最後のひとかけら、続けてもいいんじゃない?

1.【8時間ではなく、「ほどほど眠る」でOK】

 当たり前のことだが、睡眠薬をやめるにはまず不眠症を治しておく必要がある。そのためには処方された睡眠薬を正しく服用してほしい。むやみに怖がったり、自己判断で減量や増量をしては効果も十分に引き出せない。よく眠れたという体験を積み重ねることが再発のリスクを低下させるため、効果を実感するのであれば「アロマ」でも「眠れるCD」でも何でも、薬以外の助けを借りてもよい。

 ここで大事なポイントは、「不眠症が治った」かどうかをどう判断するかだ。これはお分かりだろうか。不眠症が治るとは不眠が完全に消えて、朝までグッスリ眠れるようになることだと考えている人が多いが、少し違う。

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