第103回 長く眠る人の死亡リスクが高いという謎

まさしく過ぎたるはなお……。(イラスト:三島由美子)
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 糖尿病、高血圧、高脂血症(脂質異常症)などの生活習慣病
 脳卒中、狭心症、心筋梗塞などの心血管系疾患
 うつ病、認知症などの精神神経系疾患
 そして死亡率!

 これらはその発生リスクと睡眠時間との間に関連が確認されている疾患の代表例である。睡眠時間と健康リスクというと、どうしても睡眠不足(短時間睡眠)を思い浮かべがちだが、実は睡眠時間は長ければ良いというわけではないようだ。

 横軸に睡眠時間をとり、縦軸にリスクの高さ(健康指標)をとってグラフ化すると、不思議なことに睡眠時間と健康指標との間にはおしなべて「U字型」の関係が認められる。つまり、平均睡眠時間を底(最小リスク)にして、睡眠時間が短すぎても長すぎても、疾患の罹患や死亡リスクの高さと関連しているのである。

 例えば、米国で行われた糖尿病の発症リスクに関する複数の大型コホート調査(前向き追跡調査)でも、日常の睡眠時間が6~7時間の男性に対して、睡眠時間が5時間以下の男性はその後、糖尿病に1.95倍かかりやすい一方で、睡眠時間が8時間を超えている男性は3.12倍とさらに高率に糖尿病に罹患したのである。

 ちなみに、女性の場合は1.37倍と1.36倍とやはり短時間睡眠、長時間睡眠ともに6~7時間睡眠に対してリスクが高まるが、男性よりもリスクが低い。もともと糖尿病の有病率は男性の方が高いのだが、睡眠時間の影響に性差が生じるメカニズムはよく分かっていない。

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