公務員の朝型勤務は夏限定であるが、一部の商社が取り入れているのは「永続的な」朝型勤務である。これは後ほどご説明するように、別の意味で非常にキツイ。そもそも朝型勤務によって生産性は向上するのだろうか。私はかなり懐疑的である。少なくとも一部の労働者にとってはかなり厳しい状況が待ち受けているだろう。

 ともあれ、ある企業のHPに掲載されている朝型勤務の「成功例」をみてみよう。法務部勤務のN氏の1日だそうである。

(イラスト:三島由美子)
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 ひゃー、少なくともN氏は「標準的な」成功例ではない。N氏のアクティビティを見るに、営業1課でも十分番を張れる強者とみた。そもそも朝型勤務の導入前から早起きを楽に実践できていた方ではないだろうか。加えて、朝7時半から預けられる社員用託児所があり、その10分後には出社という恵まれた……いやいや止めておこう。

「早起きが辛いのは最初だけ」「早起きは早寝に通じる」などという楽観論もよく聞くが、コトはそう単純ではない。確かに、普段より早起きすると体内時計の時刻は早まる(朝型にシフトする)。ポイントは太陽光を浴びるタイミングの変化である。午前中、特に早朝に網膜に入射する強い光は(当日ではなく)翌日の体内時計をより朝型にシフトする作用があるからだ。

 これは体内時計時刻の光位相反応(朝型シフト効果)とよばれる現象で、「朝の光で体内時計をリセット」などのフレーズが雑誌に載っているのを目にした読者も多いだろう。一見、早起きが翌日の目覚めを良くする好循環が得られそうな感じがするが、いざ実践するとなかなか理屈通りに進まないのである。その理由を幾つかご紹介しよう。

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