第125回 居眠り運転をしやすい“魔の時間帯”
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による外出自粛要請のためか、ゴールデンウィーク恒例の高速道路の渋滞がめっきり減ったというニュースが流れていた。私自身も経験があるが、皆さんも遊び疲れた帰路の途中で睡魔に襲われ、居眠り運転をしてしまいそうになったことがあるのではないだろうか。一般のドライバーの6%前後が年間当たり少なくとも1回は居眠り運転をしているというレポートもある。
幸いなことに、過去20年間にわたり交通事故死者は減少し続けている。警察庁の資料「令和2年中の交通事故死者数について」によれば、令和2年(2020年)における交通事故による死者は2839人で、前年に比較して11.7%減少している。ちなみにデータを見た限りでは新型コロナウイルス感染症による自粛生活の影響は感じられず、コンスタントに減少している印象がある。
とはいえ、睡眠不足大国日本のドライバーは居眠り運転のリスクを常に抱えている。居眠り運転がそのまま実際の交通事故に結びつく割合はごくわずかであるとされるが、時には多数の死傷者を出す大惨事の原因となる。
図を見ると分かるように、居眠り運転に限らず、運転事故件数全体で見ると、午前8時前後と夕方5時〜6時に発生することが多い(科学警察研究所交通安全教室研究資料、点線)。いわゆる通勤時間帯で、実際、交通量自体もこの時間帯に最も多くなる。逆に、深夜帯は交通量が少ないこともあり、事故件数は少ない。
ところが、居眠り運転だけに絞ると好発時間帯は大きく異なる。一つ目のピークは深夜帯から明け方にかけて、緩やかだが5~6時間ほども持続する。もう一つは午後2時〜4時にかけてのスパイク状のピークである。
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