第22回 寝てはいけない時間に眠る人々、その傾向と対策

 損な寝方をしている2番手は入院患者さんである。多くの病院では否も応もなく21時に消灯されてしまう。特に若い世代だとそのような早い時間に眠れるわけがない。その上、起床時刻である朝6時までの9時間が実に長い。中高年ともなると1晩の実質的な(脳波上の)睡眠は6〜7時間程度なので、ヘタをすると夜中に3時間近くも目を覚ましていることになる。自宅と違ってリビングで一服つけたり、読書をしたりすることもできないので苦しさは倍増である。実際、入院中に不眠が悪化して睡眠薬の服用を始めてしまう患者さんはとても多い。ということで、入院患者さんは損な寝方をさせられている被害者と呼ぶ方が正しい。

 少し高級な個人病院などでは個室が多く消灯時刻もかなり融通がきくようだが、大学病院や公的病院などでは、消灯時間の変更は労務管理にも関わるためなかなか難しい。知り合いの医学部教授は私の講演を聴いた後に病院の消灯時刻を1時間遅くしてはどうかと病棟師長に交渉したものの、10分ほどお小言をいただいて早々に退散したと教えてくれた。患者さんのためにもう少し柔軟な発想を持ってもいいのにね。

 さて、3番手は夜型の人である。これまで「睡眠禁止ゾーン」は20時〜22時頃と書いてきたが、冒頭でも書いたように「普段0時頃に寝つく人」の場合である。実は個人差がかなり大きい。以前私たちが行った測定では、わずか100名程度の体内時計時刻ですら7時間もの開きがみられた。そのため「睡眠禁止ゾーン」も強い朝型の人では18時〜20時辺り、強い夜型の人では深夜1時〜3時辺りと大きな開きが生じる。一般的には眠気が強まる深夜でも夜型の人は目がパッチリし、むしろ仕事や勉強の能率が上がってしまう理由もお分かりいただけると思う。

 夜型の人の中には20代から寝つきが悪く不眠症と誤診されて睡眠薬を服用している人がいる。このタイプの入眠困難には睡眠薬が効きにくいことは先に説明した通りである。夜型による不眠の見分け方は比較的簡単。寝つきは悪くてもいったん寝つくと爆睡する。週末に夜更かしして昼頃まで寝坊しているのは、ほぼ夜型。早寝ができるようになるには「睡眠禁止ゾーン」を前倒しにしなくてはならない。

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