第102回 発達障害の睡眠問題、実はほぼ半数が悩む

 例えば、ADHDでは多動や衝動性、注意欠陥などの中心的な症状については一定の効果が期待できる治療薬がある。夜間の不眠に対しても睡眠習慣の指導を行った上で、どうしても必要であれば睡眠薬や鎮静剤を用いることができる。

 ところが、彼らの「日中の眠気」はとてつもなく難敵なのである。睡眠不足による眠気であれば睡眠時間を伸ばすことで解決できる。ところが、ADHDやASDの眠気は睡眠不足とは無関係に出てくることが少なくない。むしろ、昼も夜も暇さえあれば眠って困るということがある。

 そもそもADHDの治療薬の一つであるメチルフェニデートはもともと過眠症の治療薬として用いられていた。過眠症とは夜に十分眠っても日中に強い眠気が生じる睡眠障害の一種で、代表的な疾患はナルコレプシーだが、メチルフェニデートはその特効薬なのである。つまり、病的に強い眠気も払ってくれる医療用覚醒剤の一種である。多動や注意欠陥にも効果があるため、現在はADHDの治療薬としても用いられているが、その強力な覚醒効果で日中の眠気も改善してもおかしくないはずなのに、ほとんど効果が得られないことも少なくない。

 なぜ、発達障害の眠気は頑固で、メチルフェニデートも効きにくいのだろうか? その答えのヒントがあるツイッターに載っていた。





 ツイートの主はプロフィールを見るとASDとADHDの合併と診断されているとのこと。原因不明の眠気にずいぶん苦しめられていたようだが、自分だけではないことが分かって大いに安堵した様子がうかがえる。このツイートには共感するリツイートが多数寄せられていることから、同様の悩みを持っている人が相当数いることがうかがえる。

 この方の眠気を考える上でのポイントは、ツイートの中にある「興味がないことをやろうとすると」である。通常の過眠症では眠気は持続的で、時刻やシチュエーションを問わず出現するため、日中を通じて眠気に悩まされる。ところが、発達障害の子供では(大人でも)、授業中やデスクワークなど「退屈な」場面で眠気が急速に出現することが多い。一方で、関心のあることには熱中し、眠気を忘れてしまう。同じ授業でも好きな教科では眠気を感じない。友人と会話を楽しんでいる最中にも眠ってしまう過眠症とは全く異なる。

次ページ:発達障害に特有の不思議な特徴がある

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