意外に感じられるかもしれないが、この病気は比較的「よくある病気」である。十分に信頼の置ける大規模な有病率調査は行われていないものの、一般の大学生を対象にしたある調査では約5%が同様な経験をしたことがあると回答しているほどだ。いわゆる拒食症や過食症などの摂食障害、ダイエット、ストレスなどが誘因になることもあるが、原因が不明のケースも少なくない。

 自分の症状に気づいたとしても、それが病気なのか自信が持てなかったり、またどこに相談したらよいか分からないためか、睡眠障害外来に相談に来る人はさほど多くない。世間でもあまり話題になっていない。しかし、週に何晩も、時には一晩に何回も食行動が出現するような重症例では、体重が増えるなど体の変化も生じてくるので様子見を決め込むわけにはいかなくなる。時には糖尿病や脂質異常症など病気を合併したり、持病を悪化させてしまう場合もある。

 ちなみに、睡眠関連食行動障害と勘違いしやすい病気に夜間摂食症候群がある。名前も似ているので実に紛らわしい。夜間摂食症候群は就寝前や夜間覚醒時に何か食べたくて仕方がない、我慢できずに食べてしまうのが特徴だが、食べている間もしっかり「目が覚めている」。夜中に炭水化物が欲しくなってついついスナックやカップ麺などに手が出てしまう経験は誰しも持っているのでは。夜間摂食症候群はその重症型と考えればイメージしやすいだろう。

 一方、睡眠関連食行動障害はそれとは全く違う病気。ポイントは食行動の間も目が覚めていない、眠り続けたまま食べている点である。逆に言えば、このような異常な食行動は眠っている間にだけ出現する。仮に食事中に何かの刺激で目覚めれば食行動はストップする。つまり覚醒中も食がコントロールできない摂食障害とは本質的に異なる。

 それにしてもキッチンで調理や食事までしてもナゼ目が覚めないのだろうか。そもそもナゼ眠っているのにそのようなまとまった行動ができるのだろうか。

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