第123回 昼寝の多さは自己責任ではなく遺伝? 昼寝と生活習慣病に関わる遺伝子を発見

 さて、昼寝好きの中には新たな懸念を持った方がいるのではなかろうか。昼寝習慣が遺伝子変異を背景に生じている、そしてその遺伝子変異が生活習慣病のリスクも高めているとしたら、今さら昼寝習慣を止めても生活習慣病を回避できないのではないか? であれば開き直ってもっと昼寝をしてやる! と考えてもよいものか……。

 この懸念に対する明快な回答はない。ただし、私ならば以下のようにアドバイスするだろう。

1. ある遺伝子群の変異が昼寝に積極的に関与していたとしても、その影響の大きさは不明。おそらく睡眠不足などライフスタイルの関与の方が大きい。そして生活習慣病を心配しているのであれば、昼寝をしなくても済むような規則正しい睡眠習慣を心がけると効果も期待できる。

2. 遺伝子の中には睡眠障害の罹患リスクを高めるものもあった。こちらはよい治療法がたくさんあるので、その兆候があれば早目に相談しよう。

3. もし睡眠不足も睡眠障害もないのに昼寝をせずにはいられないのであれば、遺伝子の関与も考えるべき。そうであれば生活習慣病を予防する上で大事な食事バランスや運動に気配りしよう。その効果は遺伝的影響を打ち消してくれるかもしれない。

4. 生活習慣病はすべて「遺伝―環境」の相互作用で発症するとされる。遺伝子決定論に惑わされて嘆く必要はない。体質を乗り越えて頑張りましょう!

つづく

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三島和夫(みしま かずお)

1963年、秋田県生まれ。秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座 教授。医学博士。1987年、秋田大学医学部医学科卒業。同大助教授、米国バージニア大学時間生物学研究センター研究員、米国スタンフォード大学医学部睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。日本睡眠学会理事、日本時間生物学会理事など各種学会の理事や評議員のほか、睡眠障害に関する厚生労働省研究班の主任研究員などを務めている。これまでに睡眠薬の臨床試験ガイドライン、同適正使用と休薬ガイドライン、睡眠障害の病態研究などに関する厚生労働省研究班の主任研究者も歴任。『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』(川端裕人氏と共著、集英社文庫)、『睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン』(編著、じほう)などの著書がある。近著は『朝型勤務がダメな理由』。