大人のストレス性の不眠の多くが一過性であるのに対して、特発性不眠症は幼少期に出現して以降、長年にわたり持続する。(イラスト:三島由美子)
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 “不眠”と聞くと中高年の悩みと思われがちだが、特段の原因が無いにもかかわらず、小さい頃から不眠に悩み続ける子どもがいる。子どもは長く深く眠るもの、早く寝床に入るのが当たり前、寝るのを嫌がれば“夜更かし”と決めつけられることが多いが、大人と同じように睡眠問題を抱えて苦しんでいる子どもがいることをご存じだろうか。

 確かに実数から言えば、不眠症患者の大部分は高齢者である。国内で処方される睡眠薬の7割以上は60歳以上が服用している。加齢によって睡眠の質が低下するほか、夜間の痛みや痒み、頻尿などが加わるため、高齢者では不眠が生じやすい。かかりつけ医に相談すると、睡眠薬を処方されるといった次第だ。

 働き盛りの40代、50代も職場や家庭内のストレスなどを契機に不眠が生じることがあるが、その多くは数日〜数週間で自然に治る。夜勤(交代勤務)による不眠が多いのもこの世代である。更に若い20代や30代の若い世代でも不眠が見られる。

 不眠症状には、寝つきが悪い「入眠困難」、夜中に目覚める「中途覚醒」、朝早くに目覚めて二度寝ができない「早朝覚醒」の3つがあるが、中高年では中途覚醒や早朝覚醒など“寝続けられない”のが特徴的であるのに対して、若い世代の不眠は夜型傾向による入眠困難の割合が高い。また、若者の不眠の原因の中ではうつ病や統合失調症、発達障害などの精神疾患の割合が大きい。

 ここら辺までは、睡眠障害外来や精神科外来で比較的よく遭遇する不眠(不眠症)なのだが、さらに幼い頃から不眠に悩まされるケースがある。 “特発性不眠症”である。

 特発性不眠症の子どもでは、寝床に入りたがらない、独り寝を怖がる、眠りが浅くて何度も目を覚ましてしまう、睡眠時間が短いなどの症状が、早ければ乳幼児期から、遅くとも就学時期頃までに出現する。寝床に入るのを嫌がるのは夜更かしをしたがっているのではなく、不眠の苦しさの子どもなりの表現なのである。

次ページ:長年にわたり続き、大人と違って不眠が毎日出現

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