第43回 自殺と睡眠

 2015年末にうつ病と睡眠の話題を2回にわたって紹介した。実はうつ病に関連して3回目に予定していた話題があったのだが、ちょうどお正月になってしまい、内容がそぐわないためにいったんスキップすることにした。今回改めて取り上げてみたい。それは「自殺」である。

 重いテーマである。自殺問題は極めて個人的な事象であって原因は多様である。睡眠はもちろんのこと、貧困であれ、病苦であれ、少数の要因で自殺に至った原因を説明できることは少ない。それでも、重度の不眠、繰り返す悪夢が自殺企図や既遂に関連しているという疫学的な事実がある。そこに因果関係はあるのか、あるとすればそのメカニズムはどのようなものか、現在考えられている仮説についてご紹介する。

(イラスト:三島由美子)
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 内閣府自殺対策推進室がまとめている「警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等(平成28年1月15日)」によると、平成27年の自殺者数は23,971人(速報値)であったという。長らく3万人を上回っていた年間自殺者数だが、平成24年に3万人を切り、その後も減少を続けている。幸いなことに昨年も減少傾向は保たれたようだ。

 欧米でも自殺は社会問題化しており、対策が急務となっている。米国薬物乱用・精神衛生サービス局が「Warning Signs of Suicidal Behavior(自殺行動の前兆となる危険なサイン)」という報告書を出している。ここでも不眠症状が取り上げられている。

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