第99回 大丈夫? 命を預ける医師の睡眠不足

 できます。実際、私の医局でも現在2名の女医さんが育休中です。大学病院や都市部の総合病院のように医師数の多いところでは難しいことじゃない。なので、不正入試が問題となった幾つかの大学病院は倫理的な問題を別にしても弁解の余地がありません。

 医師の仕事は激務だから男性医師を優遇するという話を聞きますね。

 激務であることは間違いありません。特に長時間の手術や術後管理がある外科系や、心筋梗塞や脳卒中など急性疾患などを診る機会の多い診療科ではなおさらです。

 当直明けにそのまま外来勤務なんて朝型で寝不足に弱い俺っちには絶対無理。

 当然ながら医師にも労働基準法は適用されて、労働時間、それに応じた休憩時間、休日数など細かく規定されています。でも実際の現場ではきちんと遵守されていないのが現状だね。

  何でこのような状況が続くんでしょう。

 原因はさまざま挙げられているけど、根本的な問題はそのような長時間労働を当たり前としてきた医学界の古い体質にあります。ベテランは若い頃にそのような厳しい労働環境を乗り切ってきた自負があるし、指導を受ける若手医師はなかなか不満を言えない雰囲気がある。加えて医師には「担当した患者さんは自分の手で診たい」という心理が強いため、結局は滅私奉公的な働き方を受け入れてしまう風潮があるのでなかなか改善が進まないんだよね。

 働き方改革が話題ですよね。医師の働き方改革は論議されていないのですか?

 勿論されているよ。ただ議論百出だね。持続可能な働き方として8時間勤務を推奨する人もいれば、患者本位の医療を考えると9時5時勤務は現実的ではなく、医師のモチベーションをかえって損なうという意見もあります。

 先生の話からは、結局どんな働き方をすればよいか全然見えてこないんだけど。

 ごめん、ごめん(汗) ただ皆が知恵を出し合ってもなかなか妙案がなくて困っているんだよ。そんな中、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」で、仕事量は短期的には減らせなくてもしっかりと眠ればストレスが緩和されたりメンタルヘルスの悪化を防げるというデータを順天堂大学医学部公衆衛生学講座の谷川武先生らが示して注目を浴びています。

 具体的にはどういうことですか? 長時間労働を解決しないとどうにもならないと思うのですが。

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