新種と判明、古代ワニに「誤飲防止弁」を発見、水辺進出の始まり【研究者本人が解説】
2021年12月、福島県立博物館の吉田純輝氏らの研究チームが、古代ワニの新種を報告、1億5500万年前に暮らしたこの動物がすでに水中生活に適した機能を備えていたことを発見しました。ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもある吉田氏に、今回の発見について解説していただきます。
「ワニ」と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか? 動物園でじっとしている姿、アメリカの民家にあらわれたというニュース、川を渡るヌーを襲うドキュメンタリー、B級パニック映画や、100日後に死んじゃう漫画とか、でしょうか?
タイやオーストラリア、中南米などと異なり、日本には野生のワニはいないので、私たちにとってあまり身近な生き物ではないかもしれません。そもそもワニはどこから来たのでしょうか? どんな動物と親戚なのでしょうか?
ワニに最も近い、近縁な動物は、恐竜です。ワニが爬虫類であることは皆さんご存知かもしれませんが、他の爬虫類であるカメやヘビ、トカゲと比べても、ワニに近い動物は恐竜なのです。 恐竜の生き残りが鳥類ですから、私たち研究者の目から見れば、ワニにとって鳥は現在の地球上で最も“血のつながりが強い”親戚です。
2億年以上前の中生代の初めに、ワニの祖先と恐竜の祖先はすでに別々の進化の道を歩み始めました。ワニも恐竜も、このころの祖先は陸上の動物でしたが、ジュラ紀(2億130万年前~1億4500万年前)になるとワニの祖先が本格的に水辺へ進出しはじめます。そして白亜紀(1億4500万年前~6600万年前)になると、現代のワニ(現生ワニ)の祖先が登場しました。
これでもうみなさんはワニの進化について分かった感じがしたと思います。白亜紀に、現生ワニの祖先が登場したことも知っていただけたはずです。では、ここで今回私たちが新種として発表した、ジュラ紀の化石を見ていただきたいと思います。
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