――今作で強く描きたかったのはどのようなことでしょうか?

 ヒナの旅立ちです。コウテイペンギンは“世界で最も過酷な子育てをする鳥”として命をつないできました。母がエサを求めて海に出ている真冬の間、絶食状態の父が両足の上で卵を温め、孵化させます。経験の浅い父であれば卵を割ってしまうこともあるし、孵化したとしても天敵に襲われることもある。

映画『皇帝ペンギン ただいま』フォトギャラリー 写真10点(写真クリックでギャラリーページへ)
初めて水に飛び込む若いペンギンたち 撮影=Vincent Munier

 夏が近づく頃、両親はヒナを置いて繁殖地を離れます。残されたヒナは集団となり、何かに導かれるように、不器用に歩き始め、やがて海にたどり着く。この一連の行動に神秘を感じたんです。なぜヒナは突然、この道を歩き出すのか。どこからシグナルが聞こえてくるのだろうか。そんな思いに駆られながら僕たちもヒナを追いかけたのですが、海が近づくにつれ、怖がっている様子が手に取るようにわかったんです。ヒナたちが目の前の海に飛び込むまで数日を要したのですが、根気よく見守り続けた結果、決定的な瞬間に立ち会えたことは非常にラッキーでしたし、自分にとって一番好きなシーンになりました。

――最後にナショナル ジオグラフィックの読者に向けてメッセージをお願いします。

 コウテイペンギンたちの現状を見ることで、彼らがいかに脆弱な動物で、環境の変化によって命が脅かされているということ、そして温暖化が想像以上に早く進んでいて、地球や自然が脅威にさらされていることを感じとって欲しいです。

 絶滅が危惧されるのはコウテイペンギンだけではなく、ほかにもたくさんの動物たちがいます。彼らが絶滅していくことは地球に住む私たち人間の環境も悪化するということ。ナショナル ジオグラフィックの読者の方たちには、今の環境を改善できるようなアクションをとってくださることを切に願いたいと思います。

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る