――そもそも監督はなぜコウテイペンギンに関心を持つようになったのでしょうか。

 23歳の時に初めて南極を訪れたのですが、コウテイペンギンの外見の美しさ、優雅な所作、親しみやすいところなど、彼らを見れば見るほど魅かれていったんです。それから定期的に南極を訪れるようになり、気付いたら人生の半分、彼らと関わり合いを持つようになりました。当時は生物学者だったのですが、ペンギンとの出会いがあったことで職業も変わり映画人になっていました(笑)。

――撮影を通じて発見したコウテイペンギンの魅力について教えてください。

 ペンギンは種類によって性格も違うものです。例えばアデリーペンギンは興奮しがちでアグレッシブですが、コウテイペンギンは穏やかでおとなしい。もっといえば他のペンギンと比べて佇まいが美しく堂々としているんです。

 私にとってペンギンは人間的な動物。だからペンギンを映画の主人公、ひとりの役者として見立てたときに、キャラクターをつけやすく、一つの個体を主人公にしてストーリーを組み立てられる可能性を感じたんです。

――今回、水中写真を担当したのは写真家のロラン・バレスタ氏ですが、その写真はナショジオでも紹介されています。撮影はかなり大変だったそうですね。

 ロラン・バレスタは私の昔からの友人なんですよ。彼は水温マイナス1.7度の海を水深70メートルまで潜って長時間をかけて撮影したのですが、南極海では史上初のことです。ただリスクも大きく、機材が凍ってしまうのではないかという懸念があったので、機材も人間も水温と水圧に耐えられるよう、入念な準備をして撮影に臨みました。

ギャラリー:南極の氷の下、水深70mの海で驚異の光景を見た 写真12点(写真クリックでギャラリーページへ)
ロラン・バレスタが撮影を担当した水中写真。南極の冷たい海の下には、多様な海生無脊椎動物も生息している。(PHOTOGRAPH BY LAURENT BALLESTA)

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