特別展「植物 地球を支える仲間たち」は2021年7月10日(土)から9月20日(月・祝)まで、東京・上野の国立科学博物館で開催されている。

 東京、上野の国立科学博物館で開催中の特別展「植物 地球を支える仲間たち」に行ってきました。開催期間は2021年9月20日まで、世界最大の花や食虫植物、植物の進化の歴史まで、盛りだくさんの展示です。

 見どころを一言で言うなら、「そんな生き方をしているのか!」と驚く植物たちに出合えること。動物とちがって植物は、動かずに生き延びるという、ある意味究極のサバイバル術を磨いてきました。そんな彼らの多様な生き方を見てまいりましょう。

世界最大の「花」

 今回の展示で最も目を引くのがこれ。ショクダイオオコンニャクの巨大な「花」(実際には花の集まり)です。高さは272センチ。花を咲かせるのは数年に一度だけ、しかも不定期と非常にレアな光景を、レプリカで再現しています。植物園では開花するたびにファンが殺到する人気者です。

ショクダイオオコンニャクの「花」(実物大模型)。数年に一度、不定期に開花する。高く伸びているのが花序で、下の方に雄花と雌花の集まりがある。花序を覆う花びらのようなものは仏炎苞と呼ばれる苞葉。

「展示してあるのは筑波実験植物園で実際に咲いたもののレプリカです。同植物園ではこれまで5回花を咲かせていますが、これはそのうち2回目、2014年の開花時のものです。当時、3Dのデータを取っていたおかげで再現できました」と、監修者の一人で国立科学博物館の研究者である堤千絵さんは語る。

 ショクダイオオコンニャクは、花の大きさもさることながら、英語でcorpse flower(死体花)とも呼ばれるほど強いにおいでも有名。ただし堤さんは、「臭いと言っても、同じ仲間のゾウコンニャクほど強烈ではありませんよ。漬物のたくあんのような、甘いにおいも混じっています。ただし、においの拡散力は強く、いったん咲くと温室全体に充満しますね」

 もし本物が展示されていたら会場中がにおうのでしょうね。こわくもありますが、少し楽しそうでもあります。

 ショクダイオオコンニャクの花は、スマトラ島の森にこのにおいを拡散させることで、シデムシなどの昆虫をおびき寄せます。花の中で一晩を過ごしたシデムシは、花粉をたっぷり付けて別のショクダイオオコンニャクの花に向かうことで、授粉を担います。

 この展示エリアでは、ショクダイオオコンニャクのほかにも世界最大の花ラフレシアや最大の種子、最長寿命の葉など、植物界の記録保持者たちが紹介されています。

ラフレシア(実物大模型)。東南アジアに約20種が分布、花は直径90センチほどと単独の花としては最大とされる。つる植物に寄生して栄養分を吸収する。所蔵:京都府立植物園
最大の種子、オオミヤシ。インド洋のセーシェル諸島の一部に分布し、種子の重さは10キロほどもある。お尻のような形をしているが、その肛門のあたりから発芽する。

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