特別展「植物」に行ってみた 驚きのサバイバル能力が続々

 続いては「本当は怖い植物たち」の展示エリア。いきなりハエトリソウの巨大模型が出現します。

食虫植物の展示エリア。ハエトリソウの約100倍拡大模型が出迎えてくれる。ハエトリソウの葉には感覚毛が生えていて、30秒以内に2回触ると葉が閉じる。奥はモウセンゴケの約200倍拡大模型。
食虫植物の展示エリア。ハエトリソウの約100倍拡大模型が出迎えてくれる。ハエトリソウの葉には感覚毛が生えていて、30秒以内に2回触ると葉が閉じる。奥はモウセンゴケの約200倍拡大模型。

 ひとくちに食虫植物と言っても、ハエトリソウのように葉を閉じて虫を捕まえるものもいれば、袋状の葉に虫をおびき寄せるタイプもいます。これらはそれぞれ別のグループで別々に進化してきたのだそうで、およそ10回の進化があったと説明にありました。現在、世界にはなんと約800種の食虫植物が知られているそうです。

食虫植物の多様性の図。現在知られている食虫植物は約800種。花の咲く植物の中で少なくとも10回、虫を食べる祖先が進化し、そこから多くの種が誕生したと考えられている。
食虫植物の多様性の図。現在知られている食虫植物は約800種。花の咲く植物の中で少なくとも10回、虫を食べる祖先が進化し、そこから多くの種が誕生したと考えられている。

「怖い植物」展示では食虫植物のほか、毒をもつ植物、凶暴な果実、寄生植物などを紹介しています。

 凶暴な果実といっても、何かに襲いかかる実というわけではありません。オオオナモミの実(いわゆるひっつきむし)に付いているようなフックは、動物に付着して種子を新たな地へ運ぶ工夫です。ここではそんななかでも特徴的な実を展示しています。

 たとえばこの実。痛そうですよね。その名も「ライオンゴロシ」。南アフリカに生育する植物で、この果実が口にくっついたライオンが餓死してしまった言い伝えから、この名が付いたといいます。

ライオンゴロシの果実(6倍拡大模型)。かえしの付いた2~5センチのトゲが伸びている。南アフリカの乾燥地に生育。右下に見えるのは実物。所蔵:国立科学博物館
ライオンゴロシの果実(6倍拡大模型)。かえしの付いた2~5センチのトゲが伸びている。南アフリカの乾燥地に生育。右下に見えるのは実物。所蔵:国立科学博物館
キバナツノゴマの果実(5倍拡大模型)。南米原産の1年草で、悪魔の爪(Devil’s claw)とも呼ばれる。動物が果実を踏みつけると、ツノが足首に突き刺さる。所蔵:国立科学博物館
キバナツノゴマの果実(5倍拡大模型)。南米原産の1年草で、悪魔の爪(Devil’s claw)とも呼ばれる。動物が果実を踏みつけると、ツノが足首に突き刺さる。所蔵:国立科学博物館

 さて、展示の紹介はこのへんまでにいたしましょう。

 本展の監修者である神戸大学名誉教授の三村徹郎さんは言います。「植物は動かないからか、動物に比べて人々の興味を引きにくい面があります。でも、植物にも私たちと同じように五感があり、風やにおいを感じて他の植物とコミュニケーションをとったりもします。植物たちのいろんな生き様を知ることで、単なる知識としてだけじゃなく『植物も私たちと同じ生き物なんだ』ということを実感してほしいですね」

 紹介できなかった展示はまだまだたくさんありますので、ぜひ会場でお楽しみください。

 会場を出てエスカレーターを上がると、なんと。ショクダイオオコンニャクの花のにおいを体験できると言うではありませんか。手をかざすと、においの扉が開きます。

ショクダイオオコンニャクの「花」のにおいを体験できる展示。会場を出た後、建物の出口付近で発見。化学成分を調合し、においを再現しているという。
ショクダイオオコンニャクの「花」のにおいを体験できる展示。会場を出た後、建物の出口付近で発見。化学成分を調合し、においを再現しているという。

 くさい! 残念ながら私には、監修の堤さんが言っていたような、たくあんや甘いにおいを感じ取ることはできませんでした。でも、おかげさまで「植物」展を五感で堪能できました。みなさんもお試しあれ。

文・写真=ナショナル ジオグラフィック日本版ウェブ編集部

特別展 植物 地球を支える仲間たち

植物を総合的に紹介するこれまでにない大規模な展覧会。標本や模型、映像、インスタレーション展示などを活用し、その驚きの実像や魅力に迫ります。

東京 国立科学博物館
2021年7月10日(土)~9月20日(月・祝)
大阪 大阪市立自然史博物館
2022年1月14日(金)~4月3日(日)

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