『ファイナルファンタジーXIV』の世界観にナショジオが与えた影響とは?シナリオライター織田万里氏に聞く
『FF14』の中でプレイヤーは冒険を通じて様々な土地を訪れることができます。だからこそ、訪問先では現代社会で感じられるものとは異なる生活様式や信仰、思想なんかを感じてもらいたい。そうすることでこそ、ゲームプレイの中で、「旅」をしているという実感が得られるのではないかと考えているんです。
――2020年には国内外の累計ユーザー数が2000万人を突破しましたね。多くのプレイヤーに支持されていることを、どうご覧になっていますか。
仲間と共に強大な敵と戦うというストーリーを楽しむだけでなく、ゲームの中で家を建てたり、ファッションを楽しんだり、釣りや麻雀で時間を過ごすといったこともできます。プレイヤーの方によっては、実際にゲームで遊んでいる様子をブログに綴ったり、プレイ動画を配信したり、あるいは映画のような動画を作成してYouTubeにアップしてくれたりと、このゲームの楽しみ方はまさに千差万別です。最近だと、コロナ禍で家族や友達と直接会うことができない代わりに、『FF14』の中で会って交流し、同じ時間を過ごす手段としても使う方も増えています。新しい時代の中でゲームに求められている役割が変わってきている面もあるのかもしれません。
小説や映画は、基本的にクリエイターによって用意された物語を受け身で楽しむものですが、ビデオゲームは、プレイヤーがプレイを通じて能動的に物語に干渉できるという特徴があります。特に『FF14』では、主人公であり自分自身の分身でもあるプレイヤーキャラクターを作成するところから始まります。それゆえに苦戦しながら強敵に打ち勝ったときにも、新しい土地に足を踏み入れたときにも、独特の緊張感や達成感、高揚感を味わえるのではないかと考えています。開発チーム一同、ナショジオを始め、様々な事物からアイディアを取り入れつつ「大人が冒険するに値する世界」を用意してお待ちしておりますので、ぜひ『FF14』の世界に遊びに来ていただければと思います。
株式会社スクウェア・エニックス
ファイナルファンタジーXIV 世界設定/メインシナリオライター
織田万里(おだ ばんり)
『ファイナルファンタジーXIV』の世界設定とストーリーを考案するチームを統括している。冒険者がどのような土地に赴き、どのような存在と出会い、どのような体験をするのか―― その基礎を考案しながら、ファンタジーの世界に一貫性や奥行きを持たせる役割も担っている。
『ファイナルファンタジーXIV』はファミコンから代々続くRPG(ロールプレイングゲーム)の『ファイナルファンタジー』シリーズの14作目に当たり、MMORPG(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム)というジャンルに属するゲーム。「エオルゼア」と呼ばれる世界を舞台に、オンラインで参加している他のプレイヤー達と協力し、強大な敵を倒しながら冒険する。
ちなみにRPGとは、1970年代に米国で生まれた『ダンジョンズ&ドラゴンズ』というゲームが発祥で、テーブルの上で紙と鉛筆とサイコロを使い、ファンタジーの世界でプレイヤーが戦士や盗賊などになりきって遊ぶもの。このゲームの手法がビデオゲームに落とし込まれ、米国の『ウルティマ』(1979年発売)が世界的にヒットし、日本ではファミコンのソフトとして『ドラゴンクエスト』(1986年)や『ファイナルファンタジー』(1987年)が発売。インターネットが登場した90年代後半から複数のプレイヤーがオンライン上で同時に遊べるゲームが出現。それがMMORPGで、FFシリーズでは11作目と14作目に取り入れられている。
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