ハンティングの技術では、偏食、吸血、毒、網(クモですね)、鎌などのうち、特にヘビの偏食について。

 ハンターには決まったものだけを食べる偏食家がけっこういます。なかでもヘビは偏食家が多いグループです。意外でしたか?

 そのタイプは恒温動物食(哺乳類・鳥類)、爬虫類食、両生類食、魚食、陸貝食(主にナメクジ・カタツムリ)、卵食、ミミズ食、昆虫食、甲殻類食(主に脱皮直後のカニやエビ)と多彩。そして、有利な狩りのスキルはその対象によって異なります。たとえば、哺乳類と鳥は呼吸や血流を止めると早く死ぬので、ハンターは獲物に巻き付く「絞め殺し」を発動します。

絞め殺しながら捕食するシマヘビ。
絞め殺しながら捕食するシマヘビ。

 さらに、新鮮な鳥の卵だけを食べる歯のないタマゴヘビや、右巻きのカタツムリの中身だけをうまく引き出せるように下の歯が左右非対称に並ぶイワサキセダカヘビなど、驚きの進化を遂げたヘビもいます。

 偏食家のメリットとして、獲物を絞ることでスキルを最適化できたり、特殊な獲物を得られたりすることが挙げられます。では、なぜヘビに偏食家が多いのでしょうか。それは、一説に臭いに敏感だったりして獲物の違いがよくわかるおかげだと考えられているそうです。

 最後の大地のハンターとヒトとの関わりでは、これは見逃せません。

 1979年の高知県の記録を最後に絶滅したとされているニホンカワウソの「タイプ標本」です。タイプ標本とは、種を決める論文で証拠に使われる大変貴重なもの。普段は大切に保管していますが、大地のハンター展のために特別に展示しています。

 人間はこれまで多くの動物を絶滅させたり、生態系をかき乱したりしてきました。その一員として、絶滅した他の動物や外来種が展示されたこのコーナーでは、ヒトの特殊さと罪深さを痛感せずにはいらせませんでした。

 冒頭でも述べたように、コロナ禍における開催にはおそらく相当な苦労があったことでしょう。にもかかわらず、300点を超える標本の展示に加えて、ハンターの起源から多様性まで、構成や解説はとても充実。迫力あるワニやクマの標本から、捕食をめぐる4億年の進化の物語まで、生きものの魅力と価値がたっぷり伝わる特別展でした。

 ここで紹介できなかった貴重な標本や興味深い話はまだまだたくさんありますので、特別展の公式サイトにある感染防止対策をご確認のうえ、オンラインで予約をしてからご覧ください。緊急事態宣言が延長されましたが、大地のハンター展は2021年6月13日(日)まで開催されています。

国立科学博物館特別展「大地のハンター展」公式サイト(外部のサイトへ移動します)

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