世界の女性は今「女として生きること」をどう考えているのか、4人の証言

アーサリン(米国)

 (c) Valentina Lopez Mape
(c) Valentina Lopez Mape

 私は法学部の学生だった頃、女らしすぎると言われることがよくあった。イヤリングが大きすぎるとか、ブレスレットをじゃらじゃらさせるのはおかしいとか。当時は1970 年代。女性にとっての大きな転換期で、男性みたいになりなさいとよく言われた。男性になれないなら、せめて男性の真似をしなくてはならないという理屈だ。私のキャリアの上で重要な転機になった日のことを、今でもよく覚えている。私は社会的に非常に高いポストを志願していた。面接を受ける日、ボタンがたくさんついた赤いドレスを着た。われながらとても華やかだった。オフィスに入ると、私はドレスを誇示するのではなく、アーサリンという人間である自分と、そのポストに就いたら自分にはどんな貢献ができるかを説明した。私はそのとき、他ならぬ女であり、男には似ても似つかない存在だった。

ナタリア(ロシア)

(c) Dimitri Vershinin
(c) Dimitri Vershinin

 カザフ系ロシア人のナタリアにとって、カザフ人の伝統を守ることはとても大切だ。

 子どもを抱く女だけが、本物の女になれる。それが私たちに与えられた天命だから。男の人に与えられた天命はパンや小麦を手に入れること。働いて、家族のためにお金を稼ぐのは男の役割だ。だから、私たちの務めは、まずは子どもを産み、育て、家事をして……それからお金を稼ぐこと。

ヒナ(韓国)

(c) Emilie Auje
(c) Emilie Auje

 韓国には極めて現代的な側面がある一方、古くからの伝統が今も色濃く残っている。ヒナは長年、伝統的な韓国女性の価値観に従っていたが、あるときを境に自由な生き方を選んだ。

 半年前に髪を切り、それからメイクをやめて、楽なパンツをはくようになった。それで「メイクをしなさい」とか「髪を伸ばしなさい」とか言われなくなったのはよかったのだけれど、もっとひどいことを言われた。「男になるために髪を切ったんでしょう」だって。これはすごくおかしい。髪を切ったりメイクをしなかったり、パンツをはいたからって、XX 遺伝子がXY 遺伝子に変わるわけではないのに。


 本書に掲載した、無名の個人から大統領まで、立場も境遇もさまざまな女性たちの、リアルな声に耳を傾けてほしい。

アナスタシア・ミコバ
ウクライナ出身のジャーナリスト、映画監督。不法移民、臓器売買、代理出産など社会的・人道的なテーマに焦点を当てた作品に取り組む。空から見た地球を紹介するテレビシリーズ『Vu du ciel』を皮切りに、ヤン・アルテュス=ベルトラン監督とのコラボレーションが続いている。2015 年の映画『Human』ではチーフ助監督、2020 年の映画『WOMAN』では共同監督を務めた。

ヤン・アルテュス=ベルトラン
フランス生まれの写真家、映画監督。航空写真の第一人者で、60冊以上の著書がある。1999年に刊行された作品集『Earth from Above』は全世界で300万部以上のセールスを記録し、同名の写真展は日本でも開催された。2005年に環境問題への関心を高めるためのNGO「グッドプラネット」を設立。2009年には国連親善大使に任命され、地球の現状を描いた初のドキュメンタリー映画『Home 空から見た地球』を監督した。この作品は世界で6億人に視聴されている。過去に『365日空の旅:かけがえのない地球』『空から見た地球――21世紀への遺産』『空から見たパリ』などの写真集が日本で出版された。

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