第56回 ラーメンのルーツはウイグル料理にあり?!

お店のメニューのひとつ、切った小麦麺を野菜と肉と炒めた「コルマ チョップ」(写真提供=シルクロード・タリム)
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 いっぽう、ラーメンの語源は中国語の拉麺にあるとされている。「拉」は引っ張るという意味。いまやほとんど製麺機でつくられているラーメンも、本来は手延べ麺である。もちろん、遊牧民だったウイグル族が定住したのは4000年前よりずっと後のことだから、ウイグル族のラグメンが元祖と言うのは難しいかもしれない。

 ただ、この地域周辺で麺が生まれ、中国では次第に切り麺のほうが普及していくなか、原初的な手延べ麺はウイグル族に受け継がれたと同時に、シルクロードを通って日本に伝わりラーメンに進化した。つまり、ラグメンにラーメンの原型が残っているということであれば、それほど逸脱していないように思う。

 ちなみに、ラグメンが西に伝わってパスタになったという話もある。とにかく麺の歴史は謎に満ちていて、カップヌードルを発明した日清食品の創業者・安藤百福(ももふく)も、そのルーツを探るべく中国全土を歩いたという。だから解明されたらおもしろいけれども、グプルジャンさんと話すうちに大切なのはそこではない気がしてきた。

 なぜなら、ラグメンを純粋なウイグル料理だというグプルジャンさんの言葉が誇りに満ちているからだ。「日本人はお寿司を日本の文化として誇りに思っているでしょう。ウイグル族にとってラグメンは日本のお寿司と同じ。私たちの文化には欠かせない大切な料理なのです」

 国は中国であれど、ウイグル族としての誇り。その強い思いが宿っているからこそ、高度な手延べの技術も連綿と受け継がれているのだろう。そう思うと、ラグメンの味わいがよりいっそう深く感じられた。

店は2010年にオープン。「タリム」の名は、ウイグル人が母なる川と崇める「タリム川」に由来
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シルクロード・タリム ウイグルレストラン
東京都新宿区西新宿3-15-8西新宿バールビル1階
電話:03-6276-7799
ホームページ:http://www.oasis-tarim.com

中川明紀(なかがわ あき)

講談社で書籍、隔月誌、週刊誌の編集に携わったのち、2013年よりライターとして活動をスタート。何事も経験がモットーで暇さえあれば国内外を歩いて回る。思い出の味はスリランカで現地の友人と出かけたピクニックのお弁当とおばあちゃんのお雑煮