第56回 ラーメンのルーツはウイグル料理にあり?!

 おお、本当にあるんだ……。名前も似ているじゃないか(ラグマンともいう)。しかも、「ウイグルの人たちが愛してやまない料理。2日に一度は食べないとだめですね」とグプルジャンさんの言葉には、ソウルフードの影も見える。これは食べないとだめだと、さっそくつくってもらうことにした。

 グプルジャンさんが取り出したのは、なにやらとぐろを巻いた生地。「小麦粉に水と塩を加えて捏ね、しばし寝かせたあとに生地を細長く延ばします。これをぐるぐると巻いてさらに30分ほど寝かせるんです」とグプルジャンさん。表面がテカっているのは、麺生地が乾いてくっついてしまわないようにサラダ油を塗っているからだそうだ。

とぐろ状のラグメンの生地。小麦粉は中力粉が多い
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 このとぐろをほどきながら、グプルジャンさんは指を使って麺を細く延ばしていく。ある程度の長さでとぐろから切り離すと、今度はその麺を両手にかけて勢いよく上下に振りだした。バン、バンと音を立てながらまな板に打ち付け、麺はどんどん延びて細くなる。長くなるとそれをまた手にかけ、麺は2本から4本、4本から8本へと増えていく。

 初めて麺打ちを見たが、まさに職人技。いままで、麺打ちはパフォーマンス色が強いと思っていたが、コシを出すために大事な工程だそうだ。とぐろ状の時に直径1センチほどあった麺はあっという間に、4分の1程度の細さになった。

「ラグメンとは、振りながら延ばすという意味。麺の太さはそれぞれの好みで違うけれど、どの家庭も自分たちで打ちます。最近は生地をつくる機械も普及しているようですが、最後の延ばして打つ工程はみんな手でやっているはず。そうしないと美味しい麺ができませんからね」

 ウイグルでも料理は基本的に女性がつくるというから、女性はみんなこの麺打ちができるということか。すごいなあ、と私が感心しているうちに、グプルジャンさんはスープづくりに取り掛かった。中華包丁で玉ネギ、ピーマン、パプリカ、ニンジン、キクラゲをざく切りにしていく。肉は羊だ。ウイグル族はイスラム教徒なのでイスラムの法に則ったハラルフードではあるものの、ラグメンに入れるものは決まっておらず、家庭や好みによって異なるという。

麺は食べる直前に打つ。ラグメンは通常、お昼に食べる。ウイグルの食事は昼がメインで、朝はナン(パン)にナッツやドライフルーツ、夜はスープなど軽いものを食すという
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