第85回 具材は挟んで載せて ベネズエラのアレパ
「まず、牛肉のブロックをやわらかくなるまで煮込みます。圧力鍋で30分くらいかな。鍋から出したら水分を切って、繊維に沿ってほぐす。次に、油を引いたフライパンで粗いみじん切りにしたタマネギ、ピーマン、ニンニクを炒める。そこにほぐした肉とトマト(トマト缶)、水を入れて、塩コショウ、ウスターソース、クミン、ローレルで味を調えて水気がなくなるくらいまで煮込みます」
すぐ食べるよりも、少し時間が経っているほうが旨みが出て美味しい、とジャネットさん。この時は牛のモモ肉だったが、牛バラブロックなどもよく使われる。また、豚肉や鶏肉でつくることもあるという。
「カルネ・メチャーダと白米、揚げバナナ、黒豆の煮込みをワンプレートにしたパベジョン・クリオージョも有名ですよね」と、90年代にベネズエラに駐在していた関さんがいう。ベネズエラ料理の店では必ずといっていいほどあるプレートだそうで、カルネ・メチャーダはとても親しまれている料理のようだ。「お店といえば、アレパの専門店もありますよ」とジャネットさんが思い出したように言う。
「アレペーラといって、カルネ・メチャーダ、黒豆、魚、ハム、チーズといろいろな具材のアレパが選べるの。夜中まで開いているので、ディスコで踊った帰りに『お腹が空いたねー』って言って、アレペーラに入ってアレパを食べるんです」
〆のラーメンならぬ〆のアレパを食べて帰り、翌朝もアレパが食卓に載る。どんだけ好きなんだ……。本来はハンバーガーのように具を挟むが、ジャネットさんは「このほうが食べやすいよ」といって2枚に分けたアレパそれぞれに温めたカルネ・メチャーダを載せ、お皿に並べた。さあ、お待ちかねの試食だ。
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