第85回 具材は挟んで載せて ベネズエラのアレパ

「ええーーーっ! それ、どこで手に入れたの!?」

 持参した白トウモロコシ粉をテーブルに置くなり、北脇ジャネットさんの声が部屋中に響いた。講師のジャネットさんはベネズエラの首都カラカス出身で結婚を機に日本に来たという。歓喜するジャネットさんに「え、えーと、ネット通販で買いました」とたじろぐ私。

「よく見つけたね! このP.A.N.の白トウモロコシ粉が一番美味しいのだけど、なかなかないのよ。いま、日本では手に入らなかったはずなのに。ああ、なんて幸せなんでしょう。宝のような粉だわ!」

 よくよくサイトを見ると、しばらく欠品していたが再入荷したらしい。私、運がよかったみたい。

「じゃあ、さっそくつくりましょう」と弾んだ声で言いながら、ジャネットさんはボウルに白トウモロコシ粉をザーッと入れた。そこに水と植物油、塩を加えて素早く混ぜていく。

「1カップの粉に対して水を2カップ弱と塩、オイルを少々。オイルは入れない人もいるけれど、入れたほうがしっとりして美味しいと思います。アレパは朝食で食べることが多くて、起きるとおかあさんがこうやって生地をつくり、その間に家族がコーヒーを淹れたりするんです。生地の硬さは耳たぶと同じくらいがベスト。これは、おばあさん、おかあさんから私へと伝えられたアレパづくりのコツです」

 アレパは16世紀にスペインに征服されるより前から食べられていて、かつてはトウモロコシをすり潰して粉にしていたらしい。「おばあさんやおかあさんは『すり潰した粉でつくるアレパが一番美味しい』と話していたけどすごく大変。いまはみんな市販の粉を使っていますよ」とジャネットさんは言う。

P.A.N.のアレパの粉はダマになりにくく混ぜやすい
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