第85回 具材は挟んで載せて ベネズエラのアレパ

 きっかけは少し前に遡る。緊急事態宣言下の2020年4月下旬、南米のベネズエラ(ベネズエラ・ボリバル共和国)の出身で元横浜DeNAベイスターズのホセ・ロペス内野手が、自主練習後のオンライン取材でこう答えている記事を読んだ。

「自炊をしています。昨日はアレパをつくったよ」

「アレパ」って何だろう。そう思って調べてみると、どうやらベネズエラの国民食らしい。ただ、この時は外に出るのもはばかられる状況で、調べるだけで終わってしまった。思い出したのは中秋の名月が過ぎたころ。海外の食材を中心とした通販サイトを見ていた際に「アレパ用の粉」なるものが目に留まったからだ。

「P.A.N.」という商品名の白トウモロコシの粉で、原産国はアメリカだがベネズエラでとてもポピュラーなようだ。おもしろそうだなあ、とつぶやきながらポチッとカートへ。数日後、自宅に届いたずっしりと重い白トウモロコシ粉を見ながらふと考えた。せっかくならベネズエラの方につくり方を教えてもらえないだろうか、と。

 そこで問い合わせたのが日本ベネズエラ協会。日本とベネズエラの友好の絆と交流を深めることを目的に、イベントの開催や情報の発信を行っている団体だ。専務理事の関知久さんが「毎年開催する料理教室で講師を務めてくれているベネズエラ出身の女性に聞いてみましょう」と対応してくれた。そして数週間後、講師の女性と関さん、私で密を避けた小さな料理教室が催された。

アレパ用の粉。南米各国で愛されているエンパナーダ(いわゆるミートパイ)の生地にも使われるという
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