第71回 「東十条」は南アジアの交差点

 JR京浜東北線の東十条駅。東京都北区にあるこの駅に降り立ったのは、バングラデシュ人が多く住む町だと聞いたから。バングラデシュのソウルフードを探しにやってきたのだ。北口の階段を降りると真っすぐに伸びているのは東十条商店街。商店や飲食店が軒を連ね、多くの人が行き交う活気ある商店街だが……歩いているのは当然ながらというべきか、日本人ばかりだ。

 しかし、通りを左に折れると少し様子が変わった。何人もの南アジア出身らしき人とすれ違う。「なぜ、この通りだけこんなに多いんだ?」と不思議に思いながら歩を進める。150メートルほど歩いたところで理由がわかった。小さな商店と、バングラデシュの国旗を掲げたレストラン「インド&バングラレストラン タイガー」があったのだ。

バングラデシュとは「ベンガル人の国」という意味を持つ。インド&バングラレストラン タイガーの看板には国を象徴する動物ベンガルトラが描かれている
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 レストランのドアを開けて中に入る。4人ほどいた客はみんな南アジアの人のようだった。席に座るとスタッフがオーダーを取りにきたので聞くと、彼はインド人でもう一人のシェフがバングラデシュ人だという。この店はバングラデシュとインドのハラールのレストランなのである。

 ハラールとはイスラム教の戒律で許されたもののこと。バングラデシュはイスラム教徒が90%近くを占め、インドも約15%が該当する。向かいの商店もハラールの店だという。今回はバングラデシュ料理がお目当てなので、バングラデシュ人に人気の料理を尋ねると、そのスタッフは少し考えてから言った。