2019年9月、FIFA(国際サッカー連盟)が主催する「ザ・ベスト・FIFAフットボールアウォーズ2019」の男子年間最優秀選手賞にリオネル・メッシが選出された。歴代最多となる6度目の受賞(2010~2015年はFIFAバロンドールとして受賞)を果たしたメッシの名は、サッカーを見ない人でも聞いたことがあるだろう。史上最高のサッカー選手とも謳われるアルゼンチンの英雄だ。
このメッシの好物としてたびたび語られる料理がある。わずか13歳の時に才能を見込まれてスペインのサッカーチーム「FCバルセロナ」に加入して以来、32歳となった現在もバルセロナでプレーを続けるメッシが忘れることのない祖国アルゼンチンの料理……。
「ミラネッサ」だ。
「アルゼンチンの人たちはみんなミラネッサが大好き。毎週のように食卓に載る定番の料理ですよ」
そう教えてくれたのは今から20年余り前、両親の故郷である日本に移住した日系二世のアルゼンチン人、関根和美さん。メッシの好物を目当てに訪れた東京の西新宿にあるアルゼンチン料理店「ARGENTINA GRILL(アルゼンチングリル)」の店長だ。もともと品川や有楽町の東京国際フォーラムなどで販売するキッチンカーで人気を博している店で、2018年10月に店舗をオープンしたという。
「日本にあるアルゼンチン料理の店のほとんどはアサードがメインです。もちろん私たちにとって大切だけれども、アサードは日曜日やクリスマスなどのイベントで食べるちょっと特別なもの。私はアルゼンチンの人たちが普段の生活の中で食べる家庭料理を食べてほしいと思ってお店を出したんです」