たとえば、みじん切りにしたイタリアンパセリを玉ネギやトマト、ミントなどとあえたタッブーレというサラダ、焼いたナスをホモスと同じようにペーストにしたムタバル。そのほか、炒め物や揚げ物も出てくるようでファラフェルもメゼのひとつとして食卓にのったりするという。これらをピタパンと食べるというのだから、うっかりするとメゼだけでお腹がいっぱいになってしまいそうだ。

「レバノン人はみんなホモスが大好き。ひよこ豆をやわらかくするにはすごく時間がかかって、店では半日水につけてからゆっくりと煮ていますが、時々つくりながら、お母さんもこうやってつくっていたなあって思い出すんですよ」

 カッセムさんはそう言って笑った。専門店があるというほどレバノンでホモスが愛されているのは、発祥地だからということもあるらしい。「ただ、これには諸説あって、“ホモス・ウォー”なんていうちょっとした諍いも起きているんです」。そう、教えてくれたのは店のオーナーでフランス人のヨアン・パロションさんだ。

 ホモス戦争。レバノンとお隣のイスラエルはかねてより、ホモスの本家はどちらかということで争っていた。事が起こったのは2009年の秋。レバノンの調理人たちが重さ2トンのホモスをつくって世界記録を樹立。すると、翌年1月にイスラエル側が4トンのホモスをつくって記録を塗り替えた。

 しかし、レバノン側はだまっていなかった。同年5月、なんと300人がかりで直径7.17メートル、重さ10トンものホモスをつくり、またまた記録を更新したのだ。これはギネス世界記録にも認定されている。ちなみに、この時には5トンのファラフェルもつくったらしい。

ホモスと並ぶ代表的なメゼのムタバル。皮をむいて焼いたナスを、タヒーニ、ニンニク、レモン、塩とペーストにしてオリーブオイルをかけたもの。ホモスよりさっぱりとしていて、焼きナスの風味が香ばしい
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