第70回 口に広がる汁の旨みがたまらない!ボリビアの朝ごはん

日本には計22年住んでいるというロクサナさん。日本育ちの息子さんはボリビアでサルテーニャを食べて感激したそうだ
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 モコチンチを飲んで落ち着いたところでソウルフードについて尋ねる。日曜を選んで訪れたのは、事前に問い合わせた時に店ではこの料理を土日にしかつくってないと聞いたからだ。「ボリビアにもいろいろな料理があるけれど、これは毎朝のように食べる身近なもの」と言って知名さんはその料理を出してくれた。

「サルテーニャです」

 餃子を大きくしたような形の調理パンと言えばわかりやすいだろうか。南米の多くの国でエンパナーダというミートパイのようなスナックが愛されているのだが、それによく似ている。サルテーニャは「ボリビア版エンパナーダ」なのだろうか。そう聞くと、ロクサナさんは「違う、違う」と大きく首を振った。

「エンパナーダはボリビアでもよく食べられているけれど、サルテーニャとは違う料理なんですよ。エンパナーダは揚げますが、サルテーニャはオーブンで焼くんです。生地も違います」

 今までいくつかの国のエンパナーダを食べたがパラグアイでは揚げていて(第10回参照)、チリでは焼いたものを食べたが、揚げることもあるらしい(第50回参照)。同じエンパナーダでも国によって違うんだなあ、と思いながらサルテーニャをいただく。

「あ、汁が多いので気を付けて!」

 知名さんの声が耳に届く前に私はサルテーニャにかぶりついていた。その瞬間、顔面にブシュッと汁が飛び散る。驚きながらかじったサルテーニャを見ると、スープを生地で包んだかのようなつゆだくぶり。熱々でなくてよかった……。

サルテーニャは19世紀のアルゼンチンのサルタ生まれの作家、フアナ・マルエラ・ゴリットがボリビアに亡命した際につくったのがはじめだというが、いまやボリビアの国民食に。専門店のほかキヨスコと呼ばれる商店でも売られている
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