第76回 トルコ版「味噌」? 原料はあの野菜

トルコには一年に一度くらいのペースで帰るというメテさん
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「トルコは飲酒を禁じていないので飲む人も多いですよ。ワインは紀元前からつくられているんです」

 私の素朴な疑問に答えてくれたのがオーナーのキュプチュ・メテ・レシャットさんだ。日本でトルコワインを扱っているところは少なく、30種ほど常備しているのはこの店くらいだという。「ラクなども含めると40~50種のお酒があるよ」と酒好きだというメテさんは笑顔で言う。ブドウの原産地はトルコと極めて近いカスピ海沿岸およびコーカサス地方といわれていて、宗教が生まれる前から飲まれていたという歴史的背景もあるのだろう。

 なんて、うっかりお酒事情の話が弾んでしまったが、今日の目的はトマトだった。さっそくトマト事情について尋ねる。

「トルコ人は毎日のようにトマトを食べます。フレッシュな状態でも食べるけれど、特にサルチャはトルコ料理には欠かせません」

 そう言って、メテさんはワインの向かいにある棚から大きな瓶詰の商品を持ってきた。ずっしりと重い瓶詰の内容量は700グラムで、赤いペースト状のものがぎっしりとつまっている。

「これがサルチャです。トマトを煮詰めてつくる発酵調味料で、煮込みやスープの味付けに使ったり、パンに塗って食べたりといろいろ使える万能ペースト。日本の味噌のような感覚ですね。トルコの家庭の冷蔵庫には必ず入っています。こんな小さいものではなく10キロぐらいの大きなやつがね」

トマトのサルチャ(左)とパプリカのサルチャ。『PENGUEN』のパプリカサルチャは塩が入っているので保存がきくが、トマトサルチャは無添加なので残りは平らにして上にサラダ油などをかけ、空気にふれないようにして保存するといい
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