第76回 トルコ版「味噌」? 原料はあの野菜
先日、北海道に取材に行った時のこと。「トマト狩りに行ってたくさんあるから」と、取材先の方からトマトをいただいた。夏が旬のトマトは甘くてみずみずしい。近年、抗酸化力が強い成分「リコピン」を多く含むトマトは、健康ブームの影響もあって日本での消費量が増加傾向にある。
しかし、世界には日本人の約10倍ものトマトを消費する人たちがいる。トルコ人だ。FAO(国連食糧農業機関)のデータによると、日本の一人当たりのトマトの摂取量が10キロなのに対してトルコはなんと99キロ。一人当たりでは世界1位の消費量だそうだ。
トマトはトルコを含む地中海沿岸で特によく食べられていて、前回のギリシャのソウルフードを食べに行った際も「ギリシャの味付けの基本はオリーブオイル、レモン、トマト」という話を聞いた。それにしても99キログラムというと単純計算して一日270グラム以上のトマトを食べていることになる。大玉のトマトの重さがだいたい200グラム以上だからけっこうな量だ。
トルコ料理はフランス料理、中華料理と共に世界三大料理の一つに挙げられる。有名な料理といえばケバブだろう。日本の街中で売られているケバブサンドにはトマトが挟まっているものの、いったいそんなにたくさんのトマトをどのように食べているのだろうか。興味が湧いた私は東京・品川区にある「Doğal(ドアル)」を訪れた。国内では珍しいトルコ食材とお酒の専門店だ。
令和が始まった今年の5月1日にオープンしたという店舗は真新しく、壁一面にワインやブドウからつくられるトルコの蒸留酒ラクが並んでいた。トルコって飲酒が禁じられているイスラム教徒が多い国ではなかったっけ?
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