「ビールとミティティは最高だよ。ルーマニアでは5月1日の前後に数日休みを取ったりして海や山でバーベキューをするんです。そこにミティティがなかったら話にならない。自分でつくる人もいるけれど、肉屋やスーパー、デパートなど、どこにでも売っているから買うほうが多い。一人3、4個は食べるので、この期間だけでも全国で何千万個ものミティティが食べられているはずだよ」
すごい消費量だ。夏のシーズン中の総量は相当なものになるだろう。でも、わかる気がする。だってお皿には4つ載っていたけれど、ぺろりと食べちゃったもの。ラミハイではミティティを全国に発送していて、日本各地に住む在日ルーマニア人がお取り寄せをしているという。
「結婚パーティーや誕生した子どもの洗礼のお祝いをうちの店でやる人も多いんですよ。その時はサルマーレが欠かせないね」
ミハイさん曰く、日本でいうロールキャベツのような料理だという。キャベツは地中海沿岸の原産でヨーロッパでは古くから食されている。「ぜひ、食べたいです!」と言うと、その前にと私の前にショットグラスを置いた。「これはパリンカ。結婚式やパーティーの乾杯、それからお葬式の時などに飲むおもてなしのお酒です」
主にプラムを原料とするルーマニアの伝統的な蒸留酒で、「グイッと、一気に飲んで」とミハイさん。しかし、以前に隣国のハンガリーのソウルフードを食べた時に、パリンカ(パーリンカ)の名を聞いたことがある(第43回 参照)。もし、あれと同じだとすると……と一抹の不安を感じながらショットをあおった。
プラムの風味が舌を伝わる、ジュースのような甘いお酒だ。が、やっぱりきたー! 喉がグワーッと熱くなって、汗が一気に噴き出す。パリンカはアルコール度数が高いのだ。「これは40度だからそんなに高くないよ。ルーマニアでは80度くらいのパリンカもあるよ」と顔をしかめる私を見て笑うミハイさん。風邪にいい健康酒でもあり、冬はホットにしてフルーツを浮かべて飲むという。