ミハイさんは黒海に面した都市、コンスタンツァの出身。リゾート地として有名で、勤めていたレストランも夏は多くの客で賑わったという
ミハイさんは黒海に面した都市、コンスタンツァの出身。リゾート地として有名で、勤めていたレストランも夏は多くの客で賑わったという
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 ミハイさんは母国で調理師と精肉加工の学校に通い、免許を持つ料理人だ。日本に旅行に来た時に肉の質の高さに魅せられて改めて来日、静岡や東京のレストランでの勤務を経てラミハイを開いた。肉の仕入れから解体、加工、調理まで自らの手で行っている。

 肉のプロが胸を張る肉料理、気になるなあ。そう思いながらソウルフードを尋ねると、「好みは人によって違うから答えるのは難しいね」とミハイさん。しかし、少し間をおいて、思い出したように言った。

「そうそう、夏の今ならミティティですね」

 かわいらしい響きの名前だなあ。「ルーマニアでは5月1日が祝日で、この日を境に夏のバーベキューシーズンに入る。みんな、バーベキューでミティティを焼いて食べるんですよ」と、ミハイさんが言う。5月1日はメーデーだが、ヨーロッパではもともと夏の訪れを祝う五月祭を意味していた。

「ミティティは焼き立てが一番。さあ、食べて、食べて」

 ミハイさんがさっそくミティティを焼いてくれた。一見、長さ8センチくらいのソーセージのようだが、挽き肉を包む皮(ケーシング)はない。キラキラと照り輝いているのはきっと収まりきらない肉汁。ナイフを入れるとやっぱり! 挽き肉の隙間からジュワーッとあふれ出る肉汁に心も弾む。

 プリプリとした噛み応えのある食感、口の中を満たす旨み。この瞬間が幸せなんだなあ。豚と牛の合い挽きのようだが、ルーマニアでは羊肉なども好んで使われるらしい。塩コショウがしっかり効いた味付けで香辛料の風味が特徴的だが、何が入っているかは企業秘密とのこと。ビールによく合いそうだ。

「ソーセージと違って皮がないミティティは冷めないうちに食べてほしい」とミハイさん
「ソーセージと違って皮がないミティティは冷めないうちに食べてほしい」とミハイさん
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