第81回 ビールが進む!「種」を使ったソースでつくる、アフリカ・トーゴの国民食とは
「デシがソースという意味で、アジデシというピーナッツソースやフェトゥリデシと呼ばれるオクラソースの煮込み料理が定番です。フェトゥリデシはとてもヘルシー。オクラはアフリカ原産といわれていてよく食べられています。この2つと、あとはグシデシもとてもポピュラーですね」
由加里さんの話を聞きながら、以前に隣国のガーナのオクラ料理を食べたことを思い出す(第22回参照)。ところで、「アジ」がピーナッツ、「フェトゥリ」がオクラなら「グシ」って何だろう。そう尋ねると接客を終えたエドモンドさんが教えてくれた。
「グシは種のことだよ。日本にはないウリ科の植物の種。見た目はスイカに似ていて、パッションフルーツのように中にグシがつまっている。皮や実は食べず、グシだけを使ってソースにするんだよ」
同じ西アフリカのナイジェリアでよく食べられているエグシというウリ科の種子と同じものかもしれない。エドモンドさんは「あんな感じにすり潰してペーストにするんだ」といって店内に飾られた染物を指さした。そこには現地の暮らしが描かれていて、中央の上部に石臼らしき道具を使う女性の姿がある。ピーナッツも同様にすり潰すらしい。
「グシデシを使うボマニャニャは、トーゴ人はみんな大好きだよ」とエドモンドさん。トーゴらしいソウルフードだということで食べたいと伝えると、「ちょっと待ってね」と笑って調理場に入っていった。
「世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅」最新記事
バックナンバー一覧へ- 最終回 神奈川いちょう団地でベトナム料理を食べ歩き
- 第85回 具材は挟んで載せて ベネズエラのアレパ
- 第84回 パキスタンのおふくろの味、アチャリカレー
- 第83回 労働を忘れ心を整えるユダヤ教安息日の食卓
- 第82回 夜通し続くルーマニアの結婚式、招待客の腹を満たす「サルマーレ」を食べてみた
- 第81回 ビールが進む!「種」を使ったソースでつくる、アフリカ・トーゴの国民食とは
- 第80回 キューバの豆料理から見えてきた、社会主義国の食卓事情
- 第79回 サウナ以上に愛すべき存在?!フィンランドの国民食
- 第78回 幸福を招くインドネシアの「黄色いごはん」
- 第77回 アルゼンチンの英雄、メッシが愛する料理「ミラネッサ」とは?