「フェタチーズです」

 羊と山羊の乳を原料とし、塩水に漬けてつくる。誕生したのは紀元前という現存する世界最古のチーズだ。和食でごはんを食べる時に味噌汁が付くように、ギリシャではパンにフェタチーズが欠かせないらしい。「ギリシャでレストランに行けば頼まなくても勝手に出てくるよ」とジョージさん。この店でも食べられるというのでいただくことにした。

 出てきたフェタチーズは四角い形で真っ白だった。一見、固そうだがフォークでさすとホロホロと崩れる。口に入れるとポソポソとした食感とともに、軽い酸味と乳のコクがふわっと広がった。山羊の乳と聞いていたので臭みがあるのかと思っていたが、熟成が強くなくそれほど感じない。ただ、塩漬けにするだけあって塩味はけっこう濃い。

フェタチーズにオリーブオイルとハーブをかけて。フェタチーズをフライパンで焼くサガナキや、フェタチーズとほうれん草のパイ・スパナコピタなどもよく食べられている
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「クセはないけれど味がしっかりしているので、隠し味としてスープに入れたり、料理の調味料としても使います。ギリシャ料理には何でも合いますよ」とオリンピアの店長の藤原美木子さんが教えてくれた。いまや欧米でも一般的に食べられているグリークサラダ(ギリシャサラダ)にも必ずフェタチーズが乗るという。そう考えると、本当に日本の味噌みたいに身近なものなんだなあと思う。

 しかし、このフェタチーズ、世界各地に広まったことで近年は牛乳でつくるまがい物なども出回るようになってしまったらしい。そこで国を超えた論争のすえ、2002年にEU(欧州連合)におけるPDO(原産地名称保護制度)に登録された。PDOは高品質な農産品・食品の名称を保護するための制度であり、フェタチーズはギリシャの限られた地域で、新鮮な羊乳または羊乳と山羊乳を混合したものを使って伝統的な製法でつくるチーズと定められたのである。

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