第74回 カナダの春はメープルシロップと共に

サトウカエデの樹木
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 そしていまや国内はおろか世界に広まっているカナダのメープルシロップ。国内の9割を生産するケベック州では限りある自然資源を維持するため、ケベック・メープルシロップ生産者協会が生産者をまとめ、メープルシロップの品質保持や生産調整に努めている。

「石油産出国の利益を守るための組織、OPEC(石油輸出国機構)みたいなものかもしれませんね。しかもカナダ人にとっては石油より大切なものといえます」

 ジュリーさんの話を聞いて思い出した。すでにお気づきの方もいるだろうが、カナダの国旗にはメープルリーフがあしらわれている。1965年から採用されているこの国旗は、公募したデザインをベースに議論を重ねてつくられたものだという。メープルシロップがいかに身近で大切なものであるかを、まさに国旗が象徴しているのだ。

 近年、ナチュラルな甘みや栄養価の高さからメープルシロップは日本でも注目されている。言われてみれば東京の新宿などではメープルシロップを使ったスイーツの店をみかけるようになったし、料理研究家の有元葉子さんは以前からメープルシロップを使った和食のレシピを紹介している。

「季節を大事にする日本の人たちは、きっとメープルシロップに込めた私たちの思いを感じてくれるでしょう。メープルシロップを通じてカナダという国をもっと知ってもらえたらうれしい」とジュリーさんは言った。カナダにも日本にももうすぐ雪解けの季節がやってくる。

HyLife Pork TABLE(ハイライフ ポーク テーブル)
東京都渋谷区猿楽町10-1 マンサード代官山2階
電話:03-6452-5497
ホームページ:http://www.hylifepork.com/table/

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中川明紀(なかがわ あき)

講談社で書籍、隔月誌、週刊誌の編集に携わったのち、2013年よりライターとして活動をスタート。何事も経験がモットーで暇さえあれば国内外を歩いて回る。思い出の味はスリランカで現地の友人と出かけたピクニックのお弁当とおばあちゃんのお雑煮