第74回 カナダの春はメープルシロップと共に

 前回、東京・代官山の「HyLife Pork TABLE(ハイライフ ポーク テーブル)」でカナダのソウルフード「プティーン」を食べていたときのこと。この店のメインがカナダで育てられた三元豚「ハイライフ ポーク」だと聞き、プティーンとともに豚肉料理をいただくことにした。

 大麦・小麦を中心にハーブなどを加えた飼料で育った豚の肉はやわらかく、脂はあっさりとしていてクセがない。プルドポーク(北米でよく食べられている煮込んだ豚肉を細かく裂いた料理)などメニューも豊富だが、私が特に気になったのが薄切りにした豚ロースの生姜焼きメープル風味。メープルってカナダのお土産によくもらうメープルシロップのことだよね? 

 口に入れるとほのかに漂うメープルの香り。店に尋ねると砂糖やみりんの代わりにメープルシロップを使っているそうで、甘さは控えめにタレのコクを深めている。パンケーキやワッフルにかけることはよくあるけれど、メープルシロップを使った料理は初体験だ。

ハイライフ ポーク テーブルのメープルシロップを使った生姜焼き。「メープルシロップは肉の臭みをとりやわらかくするので、すき焼きで安価な肉を使うときに入れると美味しくなる」というのはカナダ大使館の職員さんの情報
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「カナダ人にとってメープルシロップはなくてはならないもの。全国的に愛されていて、お菓子にはもちろん料理にも使うんですよ」

 一緒に食事をしていた在日カナダ大使館のジュリー・ポワリエ参事官がそう教えてくれた。メープルシロップとはカエデ(英語でmaple)の樹液からつくられたもの。生姜焼きはもともと日本の料理なので、私が食べたメープル風味の生姜焼きは店のオリジナルだが、カナダの家庭の冷蔵庫には必ずメープルシロップがあって毎日の食事に登場するそうだ。メープルシロップについてもっと知りたくなった私は、日を改めてジュリーさんに話を伺うことにした。