第79回 サウナ以上に愛すべき存在?!フィンランドの国民食

「結婚する前、初めてクリスマスに妻の実家に行った時にカレリアンピーラッカをつくってくれました。しかも300個も。5人くらいしかいなかったのでたくさん食べました。焼きたての温かいカレリアンピーラッカは本当に美味しい」

 300という数をほほえましく思い出しながら、ライ麦ハウスベーカリーのカレリアンピーラッカを食べた。ほのかな酸味をミルク粥の甘みがやさしく包み込む。子どもも好きそうなパイだ。

 フィンランドも最近は日本と同じように食が多様化し、小麦粉の白くてやわらかいパンを好んで食べる若者が増えている。しかし、コッコさんはお子さんに健康的だからライ麦パンを食べるよう教えているという。アキさんは自身の若い頃を振り返ってこう言った。

「僕もふわふわのフランスパンに憧れたことがありました。でも、両親に言うとライ麦パンをしっかり食べなさいと言われたなあ。当時はなぜだろうと思ったけれど、いまは自然と恋しくなるし食べると体が喜ぶ。大人になるとライ麦パンのすばらしさがわかるんですよ」

 ライ麦パンの酸味とかたさが生む味わい深さはフィンランド人のソウルにしっかりと根付いている。これからもずっと受け継がれていくのだろう。

ライ麦ハウスベーカリーには常時30種ほどのパンが並ぶ。日本で本場のフィンランドパンを焼く店は現在、ここと京都に一軒あるのみだという
[画像のクリックで拡大表示]

ライ麦ハウスベーカリー
神奈川県鎌倉市小町2-8-23
電話:0467-24-0229
ホームページ:https://raimugihausu.stores.jp/

中川明紀(なかがわ あき)

講談社で書籍、隔月誌、週刊誌の編集に携わったのち、2013年よりライターとして活動をスタート。何事も経験がモットーで暇さえあれば国内外を歩いて回る。思い出の味はスリランカで現地の友人と出かけたピクニックのお弁当とおばあちゃんのお雑煮