第79回 サウナ以上に愛すべき存在?!フィンランドの国民食

「フィンランドのライ麦パンが手に入らない時にドイツのライ麦パンを食べますが、少し甘いんですよね。時々食べるにはいいけれど、祖国の味ではありません。だからフィンランドに帰るとライ麦パンをたくさん買ってきますし、友人が来日すると聞くと持ってきてもらうように頼んでいるんです」

 フィンランド本来のライ麦パンは、フィンランド人でも自宅でつくるのは難しいそうだ。ぜひ食べてみたいけれど日本では滅多に手に入らないのか……。そんな私の気持ちを察したのか、コッコさんが明るい顔をしていった。

「実は数年前に本場のフィンランドパンを焼くパン屋が神奈川の鎌倉にできたんです。なかなか行くことはできませんが時々取り寄せています。しかもつい最近、そこのパンがナショナル麻布(東京・港区にあるスーパーマーケット)で買えるようになって。私も周りのフィンランドの友人も喜んでいたところなんですよ」

 詳しく聞くとフィンランド人のご主人と日本人の奥様がつくるフィンランドパンを中心にしたパン屋だという。「ライ麦ハウスベーカリー」という店名からしてライ麦パンへの愛がうかがえる。これは行くしかないと、私はJR横須賀線に乗り込み鎌倉に向かった。

「フィンランドは森が多く、18万以上の湖がある美しい国です。フィンランドのパンを伝えたくてお店を開くとき、山と海に囲まれた鎌倉の雰囲気がフィンランドに少し似ていたのでこの地を選びました」

 ライ麦ハウスベーカリー店主のラッパライネン・アキさんはそう言って迎えてくれた。様々なパンが並ぶ店内で、パンづくりの合間を縫ってフィンランドのパン文化を説明してくれる。

「フィンランドではライ麦、小麦、大麦、オートミールの4つの穀粉をメインにパンをつくります。私は世界のいろいろな国を旅したけれどフィンランドはパンの種類が多いと思う。その中でもライ麦パンは特別ですね」

南部のラハティで生まれたアキさんは世界を旅した時にフィンランドの味を伝えたいと思い、奥様とともに地元の学校やパン屋で修業。その後、奥様の故郷である日本に来て2017年に店をオープンした
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こだわりの溶岩釜で焼いたパンが並ぶライ麦ハウスベーカリー。釜の内側に溶岩プレートを用いた溶岩釜は遠赤外線の効果でふっくらもっちりと焼き上がるのが特徴
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