最終回 神奈川いちょう団地でベトナム料理を食べ歩き
奥では金福の女将さんが中華包丁で豚肉を豪快に裁断している。たくさんの人が買いにくるのだろう、傍らには大量の焼き豚の塊。覗き込む私に女将さんが味見をさせてくれた。焼くというより揚げているんじゃないかってぐらい、皮がカリカリと香ばしく、脂身はジューシー。若干、八角の風味がするが醤油のような味付けがベースでクセがなくて食べやすい。「しっかり味付けしているからごはんと一緒に食べたりもするよ」と女将さん。パンもあるしと、焼き豚も少しだけ購入した。
いやー、おもしろかった。正月はベトナム風で決まりだ。すっかりベトナムの市場で食べ歩いたような気持ちになって帰りの足取りも軽い。
さて、年が明けて日本のお節とともにバインチュンをいただいた。葉を広げるとムアッとクセの強い香り。これは……ベトナムの魚醤「ヌクマム」だ。豚肉をヌクマムで味付けしているのだ。初めは抵抗があったが慣れるとけっこうイケる。幸福の象徴に改めて願う。
2021年がみなさまにとって幸福な一年になりますように。

THANH HA(タン・ハー)
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Banh Mi VIET(バインミーヴィエ)
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中川明紀(なかがわ あき)
講談社で書籍、隔月誌、週刊誌の編集に携わったのち、2013年よりライターとして活動をスタート。何事も経験がモットーで暇さえあれば国内外を歩いて回る。思い出の味はスリランカで現地の友人と出かけたピクニックのお弁当とおばあちゃんのお雑煮
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