最終回 神奈川いちょう団地でベトナム料理を食べ歩き
おかあさんは新年を待ちきれずに食べちゃったのかな。あれ、でもベトナムのお正月って旧正月(テト)じゃなかったっけ?
「最近は日本と同じように(太陽暦の)お正月もお祝いしてバインチュンを食べますよ」と女将のタンさんが教えてくれた。「今年はコロナの影響で客足がよくないけれど、毎年2000本くらい売れるんですよ」という。
それじゃあ、私も幸福にあやかろうかな、とバインチュンを手に取る。約15センチ四方のそれはずしりと重く、1キロほどあるらしい。「それで一人分よ」とおかあさん。「マジでっ!?」と私が驚くと、タンさんが「違うわよ、4~6人分」と笑う。二人は旧知の仲というだけあってかけあいも軽妙。ほのぼのとした雰囲気に心が温まった。
タン・ハーを出て次に向かったのはエスニックな店やカラオケスナックが数軒並んでいるディープな通り。正確に言うと迷った挙句にたどり着いたんですけどね。団地って景色が同じだから迷うのよ……。
その中に「Banh Mi VIET(バインミーヴィエ)」があった。やはりベトナムの国民食である「バインミー」の店らしい。フォーを食べたばかりで満たされているのだが、店頭の「いつでもどこでもバインミー」というキャッチフレーズに惹かれてドアを開く。
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