そんなブータンでも時代は移り変わるもの。「今の子どもたちは、甘いアイスクリームやケーキが大好き」だそうで、町でも見るからに甘そうなケーキを売る店を何軒か目にした。商店の棚にはスナック菓子がところ狭しと並んでいる。「でも、最近見かけるようになったブータン産のジャガイモを使ったポテトチップスはお薦めですよ。ジャガイモはブータンの主要農産物でおいしいんです」と渡辺さん。
そのパッケージにはブータンのお祭りに登場する道化師アツァラのデザインがほどこされていると聞き、「あれだ!」と思い当たった。チーズと唐辛子を使ったブータンの代表料理「エマダツィ」フレーバーのポテトチップスで、見つけたときに思わず舞い上がった商品だ。
唐辛子を使っているものの際立った辛さはなく、まろやかなチーズ風味。その他にも、唐辛子やシナモン、ターメリックなどを使った「ブータン風スパイス」フレーバーがあり、スパイスの組み合わせが新鮮だった。パッケージデザインも秀逸で、これからこの国のスナックもどんどん変わっていくんだろうなと思わせる。
さて、渡辺さんを訪ねる前にチュゴは食べ切ってしまったものの、話に聞いたお汁粉が忘れられず自分で干しチーズを作れるだろうかと考えていたところ、ふと思いついた。お土産にもらったチベットのヤクの乳を使ったおやつがあったのだ。天然のミルク飴のような感じでチュゴとは異なる味わいだが、保存性の高い硬い乳製品。早速お汁粉を作ってみると汁にも溶け出さず、なかなかよく合う。汁と具が混ざらないことで、お互いの味がぼやけないのだ。しばし、はまってしまいそうな気配である。
メレンダ千春
海外に行けば、どこを見ずとも行くのはスーパーのおやつ売り場という、激甘から激辛まで味の守備範囲は360度のライター。最初の異国のお菓子との出会いは、アメリカに住む遠い親戚のおじさんが日本を訪れる度にお土産にくれた、キラキラ光る水色の紙でキャンディーのように包装されたチョコレート。ミルクの味が濃くて、おいしかったな~。インパクトのあるおやつを求めて、日々邁進中。
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