【番外編】フィンランドの森の宝石 クラウドベリーのデザート

 年や地域によって異なるが、おおむね6月にはビルベリー(野生のブルーベリー)、7月はクラウドベリー、8~9月はリンゴンベリー(酸味が強い赤い実)などと初夏から夏にかけてはフィンランドの人々がベリー摘みに繰り出す季節で、この時期に大量に採取したベリーはそのまま冷凍したりジャムにしたり。インカさんの村の小中学校では、秋になると「ベリー採りに行く日」があったという。学校を半休にして生徒にベリーを摘ませ、集めた実を冷凍保存、次のシーズンまでの間とろりとしたゼリーやホイップクリームと合わせたデザートなどにして給食時に出してくれるのだ。家で冷凍しているものを持って行くのも「あり」だったそうだが、自生する地域でもごちそうであるクラウドベリーを持って行く子どもはいなかったようだ。「そんなことをしたら、親に怒られます」とインカさんは笑う。

ヘルシンキのマーケットのベリー専門店。右側のタッパーに大事そうに入っている果実がクラウドベリーだ。
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 さて、ジャムにすると言ってもクラウドベリーの場合は、他のベリー類とはちょっと様子が違うらしい。「クラウドベリーはつぶれやすいので、うちではタッパーに入れ砂糖をかけて冷凍していました。形がそのまま残って、パイにも使える。とろっとしたジャムにするより、使い勝手がいいし、おいしいんです」とインカさん。この実を使ったお菓子やデザートは高価なので、お客をもてなす定番の一品。最もポピュラーなデザートは、フィンランドならではのチーズ、レイパユーストにクラウドベリーのジャムをかけて食べるものだ。レイパユーストは主に牛乳から作るチーズで、食べるとキュッ、キュッとした食感がある。上に実の形を残したジャムをかけるのが、よく知られたこのデザートのスタイルだという。

クラウドベリーのジャムと成型したものを焼いて作るチーズ、レイパユーストのデザート。Soili Jussila for Visit Finland
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 クラウドベリージャムとレイパユーストのデザートをフィンランドで食べたことがある。でも、このときのジャムはとろとろとして実の形がなく、加えてキャラメルソースがかかっていた。ジャムはやはり杏子に似てほのかな酸味があったが、デザート自体は激甘。ただ、モッツァレラに似たフレッシュな味のチーズとジャムの相性はいいなと感じた。

レイパユーストのデザートに、さらにキャラメルソースをとろりとかけたもの。激甘だが、ほかでは得難い味。
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