第107回 リスとグアバと森の生きもの

11月、コスタリカの南、太平洋側にあるオサ半島先端の海沿いへ、約2週間のナナフシの調査に出かけた。左からドイツでナナフシの課題で博士課程にいるコロンビア人のジェイソン、その隣の二人はナナフシの分類の世界的権威、ドイツ人のフランクとオスカー(番外編19や第51回などに登場)、右端は著者。
撮影地:プエルト・ヒメネスの近く、オサ半島、コスタリカ
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今週のピソちゃんと西田賢司

 11月、約2週間のナナフシの調査から戻ってきた翌日の朝のこと。ぼくはキノコを採りに、剪定バサミを片手に森の中へ向かった。現在飼育している新種のミノガの幼虫(いわゆるミノムシ)の餌にするためだ。

 森へ向かう前に、カメラを持っていこうかと迷ったのだが、ほんの200メートルほど行って戻ってくるだけなので、まあいいか・・・と思ったのが甘かった。

 森へ入って数歩のところで、ピソちゃんのメスと大きくなったこどもたちの群れとばったり出会ったのだ。目の前にその数およそ20頭!

 向こうもこっちもビックリ! お互い動きが止まった。ピソちゃんたちは、周りの木々に50センチほど登って、こちらを見つめている。

 どうしようか?

 カメラをすぐに取ってくれば、この様子を撮影できるかも!
 そっと後ずさりし、急いで部屋へ戻り、1分半ほどで森の入り口へ戻ってきた。

 息を殺しながら1歩2歩・・・

 シ~ン。

 すでにピソちゃんたちは、どこかへ行ってしまったようだ。
 後ろを振り返ると、倒木の上に大きなお母さんピソちゃんが1頭、こちらをジーッと見つめていたが、カメラを向けるとスタスタっと茂みの中へ姿を消した。

 この再会をカメラに収められず残念!
 でも、みんな元気そうでよかった!

西田賢司

西田賢司(にしだ けんじ)

1972年、大阪府生まれ。中学卒業後に米国へ渡り、大学で生物学を専攻する。1998年からコスタリカ大学で蝶や蛾の生態を主に研究。昆虫を見つける目のよさに定評があり、東南アジアやオーストラリア、中南米での調査も依頼される。現在は、コスタリカの大学や世界各国の研究機関から依頼を受けて、昆虫の調査やプロジェクトに携わっている。第5回「モンベル・チャレンジ・アワード」受賞。著書に『わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル』(徳間書店)など。
本人のホームページはhttp://www.kenjinishida.net/jp/indexjp.html