第130回 ピソちゃんが屋根の上で暮らし始めた

ハナジロハナグマ(哺乳綱:ネコ目:アライグマ科:ハナグマ属)
A male white-nosed coati, Nasua narica
霧の漂う夜10時45分、屋根の上の軒下で丸まって寝ているオスのピソちゃん(ハナジロハナグマ)。失礼して、ヘッドランプを照らして撮影。
体長:約50 cm 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ
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 日本からモンテベルデの家に戻ってきて、ひとつ大きく変わったことがある。この原稿を書いている寝室兼オフィスの天井から、頻繁に物音がするようになったのだ。

 ガサゴソ、ドドドドドドド、ザザッ、ドスドス、ドスン!

 留守中に大きなワトソンキノボリネズミ(第60回で紹介)たちが増えて、屋根裏を暴れ走り回っているのだろうと思っていたら、違っていた。

 先日のお昼過ぎ、あまりにも大きな音が頭上で響くので、カメラを片手に外へ出た。シャワールームの横に立て掛けてあるハシゴを、静かに、でも急ぎ足で登る。ちなみにこのハシゴは、屋根の上で木々の枝葉などにいる昆虫たちを研究するためのもので、いつもここに立てかけてある。

 ハシゴの上のほうからそ~っと体を伸ばして屋根の上を覗いてみると、そこには1頭のぽっちゃりとしたオスのピソちゃん(ハナジロハナグマ)がいた! 隣のラボの建物の突き出た屋根(軒)とぼくの住む部屋の屋根の隙間から、身構えるようにこちらを見つめている。

午後2時半、屋根の上で大きな物音がするので確認しにいくと、ピソちゃんがラボの建物の軒下にいた。こちらに気づいて身構えているようだ。ハシゴに登って撮影。
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 ピソちゃんがいる位置は、ぼくがパソコンの前に座って作業する場所のちょうど真上! 先日から頭の上で響いていた物音は、ピソちゃんだったのだろう。よく見ると、ピソちゃんのいる周りには落ち葉が楕円形に「敷き詰められている」・・・なるほど、寝床に使っているのか!

 ぼくがハシゴを登りきって屋根へ降りると、ピソちゃんは慌てたように屋根の端へ行ってしゃがみこみ、大便をボトボトと落とし始めた。そして用を足し終えるや否や、ラボの広い屋根の方(次の写真右方向)へ、スタタタタタ!と駆けていった。身軽にしてからの移動か?

ピソちゃんが、きばってウンチをしているところ。
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 ぼくは急いでハシゴを降り、ピソちゃんが向かったラボの正面の方へと走った。すると、ちょうどピソちゃんは屋根から土手へとジャ~ンプ! そのままスタスタとどこかへ駆け去っていった。

ラボの屋根から土手へとジャンプするピソちゃん(矢印)。屋根より土手のほうが少し低くなっている。
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 ピソちゃんがジャンプした場所は、屋根と土手との距離が短くなっている。どうやらここを通路にしているらしい。

 でも、よく考えてみると、屋根の上へはどうやって登るのだろうか? 屋根から土手へ飛び下りるのはわかるけど、比較的大きなピソちゃんが同じ場所から飛び上がるのはちょっと考えにくい。

 まさかハシゴ? もしかしてもしかすると・・・怪しいので確認のためにシャワールーム横のハシゴの近くに定点センサーカメラを設置してみることにした。

次のページは <ピソちゃん、どうやって屋根の上へ?> です。

屋根の上の軒下にあるピソちゃんの寝床。囲むように枯葉が周辺にたまっている。
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屋根の上のピソちゃんのウンチ(糞)。ビワの大きなタネがいくつもある。海外から持ち込まれたビワがコスタリカの標高1000〜2000メートル辺りの所々で見かけられる。モンテベルデではちょうど今が実りの時期。このような外来植物のタネが森の奥へ奥へと拡散されていかないか?懸念されるところだ。
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