第147回 芸術の秋!葉っぱに泡の塔を造ったのは誰?
大阪の住宅街では、いつの間にか昼間のセミの求愛コーラスが、夜のコオロギのさえずりにかわっていた。でもセミがいなくなったわけではなく、卵に「姿を変えて」身近な場所にいる。一方で、土の中で卵から孵ったコオロギたちが「大人」になって、求愛歌を奏で始めたわけだ。心地よい響きが秋の夜長に流れる♪
今回は“芸術の秋”にふさわしく、昆虫によるアート作品をご覧いただきたい。8月に信州の峰の原高原で開催した二つのイベント「昆虫~ちいさないきもの~自然撮影体験教室」と「この夏探検昆虫学者になろう」の中で見つけたものだ。
峰の原高原は、コスタリカのモンテベルデとほぼ同じ標高(1500メートル)で、森林と草原に囲まれている(第57~59回でも紹介)。濃い霧がかかる日もあって、モンテベルデの雲霧林の9~10月の雰囲気が漂う。
イベント中、さまざまないきものたちに出会ったが、なかでも特にビビッときたのが、葉っぱの上に並ぶ「白い泡の塔」のオブジェ(最初の写真)。参加者のみんなが「何かヘンなものが・・・」と言うので行ってみると、ヤマナラシという小さな若木の葉にそのオブジェはくっついていた。
「何なん?」
塔の高さは2~3ミリ。目を凝らすと泡状の物質でできているようだ。周辺の葉はかじられていて、穴だらけになっている。そこに緑色の幼虫を3匹発見! 見た目はハバチの幼虫だ。