第102回 ナナフシを放し飼いにしたら、交尾をしながら葉を食べていた

奥に座っているのはぼくだが、見てほしいのは手前。コケの生えた枝に茶色がかった物体がぶらさがっている。コケに擬態したナナフシだ。
トゥリコペプルス・ラキニアトゥスというナナフシの一種(Diapheromeridae科: Diapheromerinae亜科)
A mossy stick insect/walking stick, Trychopeplus laciniatus
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 現在帰国中で、東京にいる。イベントやら取材やらでバタバタしているなか、ふとコスタリカに残してきた昆虫たちのことを思う。特に、放し飼いにしているナナフシたちのことを・・・。

 7月下旬にコスタリカを出発する早朝も、ナナフシたちを見届け「元気にしててや〜」と伝えてきた。今ごろ、どうしてるんかな?

 ナナフシたちとの出会いは5月下旬のこと。コケがたくさん生えている木の枝に近づいたとき、風もないのにコケが動いたのに気づいた。

「おっ? ナナフシが2匹!! コケそっくりや!」

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 すぐにトゥリコペプルス・ラキニアトゥスのメスの幼虫とわかった。以前にメスを2回飼育したことがあったからだ。今回は、このまま自然のなかで成長の様子を観察してみようと思いたち、ぼくはほぼ毎日2匹のナナフシを確認するようになった。

 面白いことにこのナナフシ、毎日同じ枝にいる。30センチぐらいの範囲だ。以前、自宅で飼育したものは、ランやウコギの葉を与えると食べていたのだが、もしかすると、コケも食べるのか?

 ただしこのナナフシ、そこにいることがわかっているのに、探しても見つからないことがよくある。
 1匹だけ見つかって、もう1匹が見つからないと、不安になる。
 翌日確認してみると、またちゃんと2匹いる。

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上手にコケに溶け込んでいる。どこにいるかわかりますか?(答えはこのページの下のほうにあります)

 そんなある日、ナナフシたちがいる枝から1メートルほど離れた所に、つる性のサルトリイバラという植物があって、葉のかじられた痕があるのに気付いた。

 また別の日にサルトリイバラの葉に目をやると、「コケ」が葉からぶら下がって、ムシャムシャやっていた。なるほど! コケの枝からここまで食事の旅をしていたわけだ!!

 それにしても、ちゃ~んと自分の居場所に戻ってくるなんて、大したもんだ!

 6月下旬、2匹の幼虫は成虫になった。メスの成虫には翅がなく、飛べない。

 そんなメスの異変に気付いたのは、7月半ばのことだった。

次のページ<メスの体に異変。そのワケは・・・>に続く


歩くコケ(トゥリコペプルス・ラキニアトゥスというナナフシの一種
A mossy phasmid, Trichopeplus laciniatus

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上で紹介したナナフシの位置。